11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:11:51.54 ID:FpkFq5Eu0
先輩は本当なら、こんな風に食べる人じゃないんです。
ちょっと健啖《けんたん》なところはあるけれど、それだって普段の運動量を考えれば少ないぐらいだし、そもそも美味しそうに食べる女の子って見ていて癒されるよね?
けど今の先輩は食事休憩無しでの徹夜明け。一周回ってハイな状態ってやつだ。
「ふうぅ……んっ……この……っ……辛さ……ああ――嗚呼《ああ》!
生きて、います。今わたしは……んっ……生きて……いましゅ」
最初は噛みしめながら味わっていたものの、空っぽだった胃が刺激を受けて動き出す。そうなってしまったら睡眠不足の脳では止められない。
あとは衝動に突き動かされるままに目の前のカレーを喰らうのみ。
え? 先輩は年上の包容力と丁寧口調、隠し切れないほどお人よしな上にメガネ。こんなことはしないって?
文句なら二十年の歳月を経てもなお印象に残っている“カレーパン覚醒シーン”に言っていただきたい。
もしくは外道マーボー神父、激辛激甘シスターなど“教会関係者=食の変人”というイメージを作り上げた菌糸類に言っていただきたい。
「……変なシエル」
事情を知らぬまま先輩の狂態《きょうたい》を目の当たりにしたアルクェイドは、呆気に取られたのもつかの間。
不思議そうに一言漏らしただけで流すと、初めて食べるカレーに再度集中することにしたようだ。
さて、いい加減俺も食べるとしよう――
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