5: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:07:12.54 ID:FpkFq5Eu0
「先輩の言う通りだよアルクェイド。カレーは日本三大国民食の一つにして、インド人十四億による魂の息吹。この世で最も至高の頂《いただ》きに近い完全栄養食なんだ」
「なんとぉ!?」
俺は草食動物。荒れ狂うルーの大波に逆らう事などできない。
6: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:08:05.85 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「へえ〜、ふ〜ん。なんだかシエルっぽい雰囲気のお店ね」
7: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:08:46.19 ID:FpkFq5Eu0
いや、大丈夫なのか!?
先輩ではなく俺たちが大丈夫なのか!?
そういうのを食べ慣れている先輩は大丈夫なんだろうけど、手を伸ばせば届く距離にそんな劇物に鎮座されて、俺たちの目と鼻は大丈夫なのか!?
あ、でもアルクェイドは3000℃の高熱にも耐えられるから辛いのもいけ――いや、あいつニンニク駄目だった!
8: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:09:29.60 ID:FpkFq5Eu0
――待てよ。
アルクェイドはカレーを食べるのは初めてだ。
最初の一口目でスパイス20倍セットに挑むという暴挙を、果たしてあのカレー奉行が許すだろうか?
9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:10:15.01 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「――――――来たか」
10: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:10:59.98 ID:FpkFq5Eu0
スプーンで掬いあげたカレーをまじまじと観察するアルクェイド。
おい、そんなに眼へ近づけるな。
何の脈絡も無くボコッと湧いた飛沫が眼に飛びかかるかもしれないんだぞ。
クソ、もしかしてお前まだ俺にやられた傷が癒えてないのか。
11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:11:51.54 ID:FpkFq5Eu0
先輩は本当なら、こんな風に食べる人じゃないんです。
ちょっと健啖《けんたん》なところはあるけれど、それだって普段の運動量を考えれば少ないぐらいだし、そもそも美味しそうに食べる女の子って見ていて癒されるよね?
けど今の先輩は食事休憩無しでの徹夜明け。一周回ってハイな状態ってやつだ。
12: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:12:32.43 ID:FpkFq5Eu0
※ ※ ※
「シエル。あなたはなぜ学校に通っているの?」
13: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:13:16.57 ID:FpkFq5Eu0
「うん。私はそれを聞いてね、羨ましくって――でも手を伸ばせばわたしにも届きそうに思えた。
でも本当に手を伸ばしていいのかな? 志貴と一緒にいる時はこんな事考えないけど、一人になると昔のわたしが訴える。
アルクェイド・ブリュンスタッドは無駄なものを持ってはならない、余分は事をしてはならない。それは個体としての機能を落とす事に他ならない――って」
「おまえ……」
14: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:14:08.03 ID:FpkFq5Eu0
いったい誰に何を言われたのか。
うつむき加減で不敵に笑い始める。
というか二人の知り合いが教会にいたとか今初めて知った。
「今のところ埋葬機関としての仕事はありませんし、期せずしてあなたと奇妙な友好関係を築けたわたしが監視役として最適なのだから黙ってろとは言ってるんですがね。
15: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:14:49.54 ID:FpkFq5Eu0
「学校は確かに楽しいものですが……楽しいから通っているかというと、少し違いますね」
そんな俺も知りたかったけど知るのが怖い問いかけに、先輩は穏やかな表情で答えた。
「私が学校に通っているのは……憧れ……心残り……そういったものです」
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