教えて! アルクェイド先生
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7: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:08:46.19 ID:FpkFq5Eu0
 いや、大丈夫なのか!?
 先輩ではなく俺たちが大丈夫なのか!?
 そういうのを食べ慣れている先輩は大丈夫なんだろうけど、手を伸ばせば届く距離にそんな劇物に鎮座されて、俺たちの目と鼻は大丈夫なのか!?

 あ、でもアルクェイドは3000℃の高熱にも耐えられるから辛いのもいけ――いや、あいつニンニク駄目だった!
 食べ物に関してはそんなに無敵じゃないぞあいつ。

「んー、じゃあわたしもその20倍セットで。なんだか面白そう♪」

「――――――――――」

 デトロイトやメンフィスを舞台にした映画で、チンピラが大した理由もなくゲラゲラ笑いながら人をなぶり殺しにするシーンってありますよね?
 必要にかられたわけでもなく、むしろ自分たちから望んで笑いながら人を[ピーーー]シーンは見ていて「これって映画の中だけだよな? え? 実際のデトロイトもロボコップみたいな治安? うわっ」と文化の違いによる驚きと恐怖を感じてしまう。

 今まさに、面白そうという理由で何の躊躇もなくスパイス20倍セットを輝かんばかりの笑顔で頼むアルクェイドが隣にいるのに、俺は止めることもできず恐怖と驚きで硬直していた。

「かしこまりました。バターチキンカレーとインドスペシャルをスパイス20倍セットで、インドスペシャルはさらに大盛り。ドロワットは……そのままで?」

 店員さんの視線を感じる。止めなくていいのかと問いかける視線だろうか?

「“髪が青い女性は常連さんだから問題ないけど、こっちの金髪の女性は初見ですよね? わたしはノンケの美少年に好き勝手できると興奮するどこぞの博士と違って良識ってものがあるんです。今のうちに止めてください”」

 ……いや、違う。
 店員さんの視線に込められた意味は――

「“お連れの女性は二人ともスパイス20倍セットを頼みましたよ。当然あなたも20倍セットにしますよね? え、しない? 初見の女性ですら頼んでいるのに? こんな美女を二人も侍《はべ》らせてるからどんな男かと思いきや……こんなんじゃすぐに愛想を尽かされますねぇ”」

 そんな感じの視線を感じる。
 まずい。 
 まだ現物を突きつけられたわけでもないのに、カレーとは思えないほど赤黒く胎動する暴力的スパイシーを鼻先に突き付けられたかのように冷や汗が流れ出る。


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