消失長門「忘れないで。」
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1:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 11:21:01.92 ID:fXMEQlMj0

私の世界は、常に灰色だった。
私と、それ以外の他者。
誰とも繋がらず、繋がる勇気も持てなかった。

私の世界には、私しかいない。
だからなのか、世界は灰色に見えた。

---

高校に入学するまでの記憶は殆どない。
しかし、今と対して変わらない生活をしていたと思う。

学校に行き、
本を読み、
誰もいない家に帰り、
時々差し入れに来る朝倉さんとご飯を食べる。
それの繰り返しだ。

そんな代わり映えのない世界に、
私はどこか安堵していた。

なぜなら、その世界には他者が存在しないからだ。
私と、時々来る朝倉さんだけの世界。
肯定も否定もない、フラットな世界。

そんな世界に安堵しつつも、
私の胸には、孤独という名の、
じっとりとした寂しさがあった。


---


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2:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 11:44:42.02 ID:fXMEQlMj0

「長門さんは本当に本が好きなのね。」

高校に入学してしばらく経ったゴールデンウィーク前。
朝倉さんが私の家に来てそう言った。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 11:49:47.56 ID:fXMEQlMj0

5月半ば、
私は一人で図書館に来ていた。

図書館は、朝倉さんが言った通り、
以下略 AAS



4:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:07:14.93 ID:fXMEQlMj0

図書館を出ようとした、その時。
私は図書カードという存在を知った。

まだ読みかけの本がある。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:11:05.65 ID:fXMEQlMj0

「ほらよ。これが図書カードだ。」

結局、彼が職員の方に掛け合ってくれて、
図書カードを作ってくれた。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:13:15.68 ID:fXMEQlMj0

それから半年ほど経った12月19日。
私は彼と一緒にいた。
私の部屋で、2人きりで。
テーブルを挟んで、湯呑みを囲っていた。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:28:26.18 ID:fXMEQlMj0

「・・・・」

話を聞いている彼は、呆然とした顔をしていた。
パズルのピースの最後1つが見つかったけど、それが色違いだったと気付いたような顔だ。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:30:18.44 ID:fXMEQlMj0

その後、朝倉さんが部屋にやって来て、3人でおでんを食べた。
2人が帰ったあと、余ったおでんをタッパーに移して、食器を片付けていた。

「明日も部室に寄っていいか?」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:31:49.06 ID:fXMEQlMj0

明日には、彩りが加えられた私と彼の世界は消えてしまうかもしれない。
明日には、彼と会えるだけで、胸が高鳴るこのちいさな幸せが消えてしまうかもしれない。

それでも私は。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2021/05/04(火) 07:36:17.68 ID:VWrYExw5o
普通のだった


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