消失長門「忘れないで。」
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7:名無しNIPPER
2021/05/03(月) 12:28:26.18 ID:fXMEQlMj0

「・・・・」

話を聞いている彼は、呆然とした顔をしていた。
パズルのピースの最後1つが見つかったけど、それが色違いだったと気付いたような顔だ。

彼はきっとこの話を覚えていないだろう。
それはなんとなくわかっていた。
そう自分に言い聞かせていたものの、
胸の内側から押し寄せてくる寂しさを無視できるほど私は強くない。

「ずっとお礼を言い忘れていたことが気になっていた。」

それでも、私はこの言葉を彼に伝えたかった。

「・・・ありがとう。」

ありがとうという言葉は、これまでの人生で何度も口にしたことがある筈だった。
しかし。これほどまでに。
熱を帯び、質量を持った言葉を口にしたのは初めてだったと思う。

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