キョン「一緒に風呂でも入るか?」長門「……入る」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:38:32.43 ID:wccLzonZO
長門有希に対して特別な感情を抱いているかと問われれば、答えは特に考えるまでもなく"YES"である。
とはいえ、それだけだと多大な語弊や誤解を招きかねないので、少々補足しておこう。
もはや今更言うまでもないが、俺にとって長門は恩人であり、それもただの恩人ではなく命の恩人である。
命の恩人。
そんな大層な存在がそんじょそこらに転がっている筈もなく、事実、俺は頭のイかれた優等生の朝倉涼子の凶刃から命を救われた。
つまり、長門は狂人の凶刃から身を呈して守ってくれたわけで、そう書けばなんだか笑い話や駄洒落のように聞こえるかも知れないが、当事者にとっては笑い話などでは済まされず、当然、洒落になっていなかった。
命の危機なんてものは普通に暮らしていればまず感じることはなく、無論、俺も生まれてこの方経験がなかったため、そんな絶対絶命の窮地を打破する術など持ち合わせてはいなかった。
そんな中、颯爽と現れた長門に救われた。
長門が居なかったら、俺はお陀仏だった。
今の俺がこうして呑気に息を吸い、そして吐いているのはひとえに、長門のおかげだ。
「頼みとやらを聞かせてくれ」
そんな恩人に頼まれ事をされたならば、ひと肌と言わずふた肌だって脱いでやりたいと思うのは人として当然の帰結だと、俺は思う。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:42:03.91 ID:wccLzonZO
「飲んで」
頼みがあると呼び出されたのは例によって例の如く、長門の自宅マンションであり、相変わらず物が少なくて生活感のない室内で、俺はいつかのように出された茶を啜った。
「飲んで」
3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:44:21.65 ID:wccLzonZO
「あなたに対する頼みはシンプル」
長門はゆっくりと目を閉じて、適切な言葉を選ぶように慎重な口調でこう続けた。
「あなたに私の頭部を洗って欲しい」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:47:20.76 ID:wccLzonZO
「それで、俺に洗って欲しいと?」
「そう」
ようやく、頼みとやらの内容を把握した。
先程自分で口にした通り、力になりたい。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:49:37.63 ID:wccLzonZO
「すごく良い香りがする」
そうだろうか。自分ではよくわからん。
そう言えば、妹がやたら拘っていたな。
それを勝手に使っているからかも知れん。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:51:31.50 ID:wccLzonZO
「何がいけない?」
「何もかもだ」
考えるまでもない。それは出来ない相談だ。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:54:11.25 ID:wccLzonZO
「……………………」
「……………………」
それから俺たちはしばらく無言だった。
長門はもともとあまり口数が多いほうではないので沈黙が苦にならないのかも知れないが、俺は先程怒鳴ってしまったこともあり、少々気まずかった。空気を変えたかった。
8:名無しNIPPER[sage]
2020/09/24(木) 22:54:14.82 ID:EX92W/9L0
フ
9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:56:39.59 ID:wccLzonZO
「じゃあ、洗うぞ」
「わかった」
白スクはともかく、水着は正直ありがたい。
これならばある程度の健全さは確保され、そして俺もズボンをまくってTシャツで長門の髪を洗う大義名分を得た。脱ぐ必要はない。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 22:59:29.30 ID:wccLzonZO
「流すぞ」
「痛く……しないで」
いよいよその時は来た。いや、ようやくか。
まるでホイップクリームのようなきめ細かい泡に塗れて良い感じに仕上がった長門の頭にシャワーを向けると、完全に脳味噌が沸いているとしか思えない台詞を吐かれて白けた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 23:01:58.71 ID:wccLzonZO
「あなたの髪を洗う様子を観察したい」
こちらの憤りを知ってか知らずか、あくまでも自分本位な姿勢を貫き通す長門。
こいつがこんなにわがままな奴とはな。
そもそも最初から俺の洗い方を参考にすれば良かっただけの話じゃないか。徒労である。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 23:04:10.18 ID:wccLzonZO
「あなたの未来にはふたつの選択肢がある」
「なんだそれは」
目を閉じたまま、長門の言葉に耳を傾ける。
13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 23:06:08.92 ID:wccLzonZO
「ま、待ってくれ」
「待てない。もう我慢の限界」
「は、話し合おう。話せばわかる」
「わからせてあげる」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 23:08:05.16 ID:wccLzonZO
「ど、どうして、そこまでかけたいんだ?」
「やはり、あなたは何もわかっていない」
長門の糾弾には明白な怒気が含まれており、俺は自分がわかったようなふりをして実は何ひとつわかっていなかったことにようやく気づいた。いや、気づかされた。長門有希に。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 23:09:24.32 ID:wccLzonZO
「床に、横になって」
「ああ……わかった」
俺だって男だ。覚悟は出来た。床に寝転ぶ。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/24(木) 23:11:08.52 ID:wccLzonZO
ちょろろろろろろろろろろろろろろろんっ!
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「ううっ……悔しい」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
17:名無しNIPPER[sage]
2020/09/25(金) 00:58:38.04 ID:iTCyVKaDO
わからせ尿
18:名無しNIPPER[sage]
2020/09/26(土) 11:34:00.14 ID:dcIST1SzO
これは笑ったww
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