高垣楓「あなたがいない」
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72: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:30:03.99 ID:+7YhSCXJ0

 謎は解けた。つまりこういうことだ。
 休診日というところに、芸能人がお忍びで診察に来る。
 実のところ休診日と謳っているところが、診察日だったのだ。
 今のご時世メンタルクリニックに診察に来ることなど、そう珍しいことではないし、そうやって心の安寧を図ることはあってしかるべきことだろう。
以下略 AAS



73: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:30:59.04 ID:+7YhSCXJ0

「……いろいろ、大変でしたね。今、おつらくないですか?」

 場面は診察室に戻る。私の前にいる先生は、人の好さそうなおじいちゃん先生だった。

以下略 AAS



74: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:31:42.97 ID:+7YhSCXJ0

「なるほど、あまりご飯は食べられてない、ですね」
「いえ、決して食べてないわけじゃ」
「なるほど食べてるんですね。でも、身にならない、と」
「……はい」
以下略 AAS



75: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:32:58.76 ID:+7YhSCXJ0

「……どうし、て」
「ああ、別に超能力でもなんでもないですよ。こういう仕事をやっていますから、高垣さんのような患者さんを何人も、診ているわけです」

 その言葉で、私は頑なだった何かが解ける気がした。
以下略 AAS



76: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:33:54.95 ID:+7YhSCXJ0

「そうですねえ、私のところに来られる方しか存じ上げませんけど、皆さん努力家と思います」
「そうなんです、ね……私はまだまだ」
「いえ。高垣さんも、頑張られている方、そのものですよ」
「え?」
以下略 AAS



77: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:34:44.80 ID:+7YhSCXJ0

「睡眠はいかがですか? 眠れてますか?」
「そうですね……あまり、眠れてないかもですね」
「なるほど……食欲は先ほど伺いましたし……それじゃ、お仕事」

以下略 AAS



78: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:35:31.72 ID:+7YhSCXJ0

「……あの、先生」
「はい」
「最近、楽しく感じていないんです……いえ、仕事のことではなくて、お酒のことで」
「ほう、高垣さんはお酒をたしなまれるんですか。うらやましいですね、私はさっぱり呑めないので」
以下略 AAS



79: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:36:05.81 ID:+7YhSCXJ0

 私のなにかが、切れた音がした。ぽたり、ぽたり、と。
 涙が、こぼれはじめた。

「これって……なんなのでしょう? 先生……これ、なんですか? 私」
以下略 AAS



80: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:36:34.33 ID:+7YhSCXJ0

※ 今日はここまで ※

ではまた ノシ


81:名無しNIPPER[sage]
2020/09/19(土) 17:23:52.23 ID:dJkO+Hwwo



82: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:03:55.44 ID:LTP9DQ6S0

投下します

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