高垣楓「あなたがいない」
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76: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:33:54.95 ID:+7YhSCXJ0

「そうですねえ、私のところに来られる方しか存じ上げませんけど、皆さん努力家と思います」
「そうなんです、ね……私はまだまだ」
「いえ。高垣さんも、頑張られている方、そのものですよ」
「え?」
「私は、そう感じました」

 先生は私を、頑張っていると言ってくれる。私にはさっぱり実感はないけれど、初対面の先生がそうおっしゃるのなら、そうなのかもしれない。
 先ほどとは私の感じ方が変わってきていることに、私は気付いていない。

「ところで、高垣さんはだいぶお仕事がお忙しそうですね。先ほどのお話を聞いてそう感じます」
「そうでしょうか……でも私には必要なことだと思っているので」
「お仕事をされている最中に、眠くなったり、いつも以上にだるく感じたりすることはありませんか?」
「眠く? だるく、ですか?」
「はい」

 ここ一週間ほどの仕事を思い浮かべる。ああ、そう言えば。

「眠くなるというほどではなかったですけれど、確かに気だるさを感じ続けていた時は、あります」
「そうですか」

 先生は、私との受け答えをカルテに書いていく。




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