75: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:32:58.76 ID:+7YhSCXJ0
「……どうし、て」
「ああ、別に超能力でもなんでもないですよ。こういう仕事をやっていますから、高垣さんのような患者さんを何人も、診ているわけです」
その言葉で、私は頑なだった何かが解ける気がした。
そうだ、目の前にいる人は、その道のプロだ。だから、私が頑なになっている『意味がない』
「……分かりました」
そういうことなのだ。私は自分に納得して、Pさんとの別れを話し始める。
先生は時々頷きながら、私の話を聞いてくれている。私はところどころつっかえながら、話を進めていく。
彼が亡くなった後のこと、チームを組んだ頃のこと、ここ最近のこと。
どのくらい話したろうか。時計を見ると、先生の問診が始まってもう四十分が過ぎようとしていた。
「少し、疲れましたか? 良ければお茶、どうぞ」
先生は、紙コップに入れられたお茶を勧めてくれた。
「なにか、話がとっ散らかってしまって申し訳ありません。時間もかかっちゃって」
「いえ、高垣さんのお話、伺いました……芸能人の方は本当に、頑張られる方ばかりですね」
「そう、なんですか?」
だいぶ冷めたお茶でのどを潤し、私は先生に尋ねた。
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