高垣楓「あなたがいない」
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74: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/19(土) 15:31:42.97 ID:+7YhSCXJ0

「なるほど、あまりご飯は食べられてない、ですね」
「いえ、決して食べてないわけじゃ」
「なるほど食べてるんですね。でも、身にならない、と」
「……はい」

 先生に図星を突かれる。私自身きちんと食べているはずで、それなのに体重が減っていく。
 ただでさえやせ気味な私がこれ以上やせてしまうのは、ビジュアル的に致命傷だと思っている。

「高垣さんのように食べてもやせてしまう方とか、いらっしゃいますから。頑張っておられるのですね」
「いえ……そんなことは」

 頑張っていると言ったところで、結果やせてきているのでは意味がない。

「大丈夫ですよ。高垣さんは、大丈夫です」

 先生が穏やかに言う。私にはその言葉が不思議に思えた。なにを根拠に大丈夫と言えるのだろう。ところが。

「高垣さんは、私が大丈夫と言ったとしても、あまり実感は湧かないでしょう」

 先生はまるで、私の心を見抜いたようだった。




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