【ミリマス】 高山紗代子「あなたと一歩、近づける時間」
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2:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:39:34.49 ID:ZPwxV11E0
 なぁ紗代子、覚えてるか?
俺たちが初めて逢った日、あれは39プロジェクトの最終面接だったよな。

『私はアイドルになれるまで、絶対に諦めません!』

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:40:36.62 ID:ZPwxV11E0

 でもな、今だから言えるけど、ファン数や売上だけで全てが決まるアイドルランク制って、俺はあまり好きじゃないんだ。アイドルにかける情熱も、オーディションに落ちた悔しさも、最高のステージをやり遂げた達成感も、そういうのを全部いっしょくたにするようでさ。
 それでも認めさせるには、こういう目に見える指標が必要なんだ。他人にも……もちろん君自身にもな。誰にでも見えるからこそ、胸を張って言えるんだ──“高山紗代子”はこんなにもスゴいアイドルなんだぞ、って見せつけてやれるんだよ。


以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:41:51.60 ID:ZPwxV11E0

「なぁ、紗代子」

 薄暗い舞台袖。進行スタッフが忙しなく腕を回している。紗代子の出番がすぐそこまで迫っている合図だ。強張る背中に声をかけた。

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:43:12.09 ID:ZPwxV11E0

「なぁ紗代子、覚えてるか?」

 俺は紗代子の手をとった。震える指をきゅっと握りしめた。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:45:47.23 ID:ZPwxV11E0

 どれだけの想いがこめられていても、時間はどこでも誰にでも平等に、無慈悲に流れていく。ダンスが終わり音楽が消え、ステージの上に静寂が訪れた。

これは、パフォーマンスと歓声との狭間にある、余韻とすら言えない刹那的な時間。すぐにでも興奮と称賛の歓声でかき消えてしまう、儚い時間であるはずだ。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:47:27.31 ID:ZPwxV11E0

『皆さんっ!今日は応援してくださって、本当にありがとうございました!』

 最後の挨拶を終えて、彼女が戻ってくる。ステージを降りてまっすぐに、俺へ向かって駆けてくる。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:49:54.72 ID:ZPwxV11E0

「まぁ仕方ないさ。細かいケーブル配置はその時々で変わるもんだし、それに舞台袖は暗いからな。要は『最後まで気を抜いちゃダメ』ってことだな」
「そうですよね。劇場とは違うってこと、もっと気をつけないと……」

 なんて通り一辺の注意を口にしながらも、俺の意識はまるで違うものに奪われていた。しっとり貼りついた前髪、潤んだ瞳に荒い息、甘酸っぱい汗の匂い。衣装越しでも伝わってくるアツさと柔らかさ、そしてか細さ。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:52:21.38 ID:ZPwxV11E0

「まだ少し緊張というか、気負いすぎてる所があるかな。力みすぎて動きも表情も固くなってた。細かいミスの原因にもなるし、なによりあれじゃ今一つノリきれない、ってお客さんも少なくなかったんじゃないかな」

 そう、今日の出来映えは彼女自身もよくわかってるし、なにより結果にも表れている。それをはっきり口にするのも、プロデューサーとしての大事な役目なんだ。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:55:42.83 ID:ZPwxV11E0

「大丈夫、その元気があれば、紗代子の夢が叶うのだって……あの子とのステージだって、きっとすぐ実現できるさ」
「もう、それは気が早すぎますよ」
「そうかな?これまでの紗代子の頑張りを知ってたら、そうは思えないけど──もっとも夢が叶ったら、俺なんて要らなくなるかもしれないな」
「そんなッ!」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:57:48.89 ID:ZPwxV11E0

「プロデューサー、嘘でもそんなこと言わないでください……じゃないと私……」
「……すまん」

──ワアアァァァァァッ!!
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:58:35.65 ID:ZPwxV11E0

「とにかく全力を尽くした結果なんだ、今日は受け入れるしかない」

お前は本当に、今日ここに至るまでの全てを、全力でやり遂げたのか?レッスンプラン、セールスプロモーション、フェス戦略……その全てを紗代子の勝利のために捧げたんだと、胸を張って言えるのか?

以下略 AAS



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