【ミリマス】 高山紗代子「あなたと一歩、近づける時間」
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4:名無しNIPPER[saga]
2020/08/23(日) 11:41:51.60 ID:ZPwxV11E0

「なぁ、紗代子」

 薄暗い舞台袖。進行スタッフが忙しなく腕を回している。紗代子の出番がすぐそこまで迫っている合図だ。強張る背中に声をかけた。

「はい……もうすぐ出番、ですね」
「ああ、そうだ。少し緊張してるか?」
「やっぱりわかりますか?」
「そりゃわかるさ!なんたって、いつも見てるからな」
「ふふ、プロデューサーには隠し事できませんね」
「なんたって今日はBランクへのランクアップフェスだ。ここを突破できれば、晴れて“一流アイドル”の仲間入りって大一番だからな、無理もな──」
「見てください、プロデューサー」

 差し出された手は小刻みに、けれどはっきりと震えていた。大舞台での緊張もあるだろう……だけど、きっとそれだけじゃない。

「手も脚も、さっきから震えが止まらないんです。お客さんも見たことないくらいいっぱいで、控え室もここもすごくピリピリして、……すごく、こわくて」
「紗代子──」
「こんなの私らしくないですよね、わかってるんです。けど……」

 なら、俺にできるのは。この差し出された手を俺は──。





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