高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 18:57:42.51 ID:s2H4XrND0
来たことのない水路でゴンドラを漕ぐのは、結構神経をすり減らす。慎重になりすぎるあまりゆっくりになって、他の人の進行を邪魔してもいけないし、だからと言ってゴンドラの規定スピードを超える速さで移動することもできない。水先案内人はいつだって、一定のスピードを求められるのだ。
のろのろ
……なんて言っても、今私は既定のスピードより遅いスピードで走行しているけど。
以下略
AAS
52
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 18:58:44.23 ID:s2H4XrND0
そんなふうにしてのろのろとゴンドラを漕いでいると、どこからか声をかけられた。
「あのっ……」
声のした方を見ると、そこにはフードを深くかぶった女性の姿があった。
以下略
AAS
53
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:00:34.25 ID:s2H4XrND0
「ふぅ……」
「……えっと……」
私は思わずそのお客様に声をかけた。
以下略
AAS
54
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:02:03.96 ID:s2H4XrND0
「……そういえば、目的地を聞いていませんでしたね。すいません。目的地はどこですか?」
「目的地、ですか……考えていませんでした……とにかく今は戻りたくないから」
先ほどからまゆさんは暗い顔をしている。戻りたくないってことは、きっとアイドルとしての活動の際に何かあったのだろう。
以下略
AAS
55
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:04:10.45 ID:s2H4XrND0
しばらく無言で水路を通る。大回りをするためには、裏道的な水路をいくつか通らなくてはいけないから、その間は観光案内もできない。いや、出来るのかもしれないけど、今の私にはできない。誰も何もしゃべらない。ただ、ゴンドラのきしむかすかな音が、オールが水を切る音が、水路の上を撫でるように過ぎていく風が、そこにはあった。
けれど、なんだかこのゴンドラの空気感が少しいたたまれなくなって、私は再びまゆさんに話しかけた。
「……まゆさんは、今どうして逃げてるんです?」
以下略
AAS
56
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:07:24.56 ID:s2H4XrND0
「まゆ!」
マルコポーロ国際空港広場前で、そんな男性の声が聞こえた。
「……プロデューサーさん……?」
以下略
AAS
57
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:08:55.71 ID:s2H4XrND0
しばらくして、プロデューサーさんから離れると、私の方に来た。そしてまゆさんが口を開く。
「藍子さん、ありがとうございました」
そして、深々とお辞儀してくる。
以下略
AAS
58
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:09:41.42 ID:s2H4XrND0
二日後
「……次で、私のソロパートはラストです」
「……実は私、今日でアイドルを引退しようと思っていたんです。あ、今は全然そんなこと思ってないですよ。安心してください、今日で引退はしないですから……」
以下略
AAS
59
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:10:37.55 ID:s2H4XrND0
「だから、聴いてください。『ウンディーネ』」
60
:
◆jsQIWWnULI
2020/08/30(日) 19:11:37.68 ID:s2H4XrND0
今日はこれでおしまいです。先週は更新できず今日に至ったのですが、来週は更新できそうです。よろしくお願いします。
61
:
名無しNIPPER
[sage]
2020/08/31(月) 22:53:10.28 ID:ZsVV9OxAo
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