540: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/16(月) 20:25:31.89 ID:6z/X/rfuO
「ご苦労様です」
私の前に、朝食が並べられる。芋を蒸し、裏ごししたものに塩を振ったもの。
そしてケルの葉にオリーブ油を軽く振ったもの。そして、トリス名産の大豆のケーキ「トフ」だ。
味はどれも薄味だが、しかし十分な栄養価を持つ。毎朝同じ食事だが、食の楽しみなど私には無縁だ。
541: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/16(月) 20:26:19.18 ID:6z/X/rfuO
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食事が終わり、まずやるのは説法だ。それは旅先においても変わりはしない。
テルモンのユングヴィ教徒は皆敬虔だ。モリブスの不信心な連中とは違い、皆静かに聞いている。
そして水浴びをした後、身支度を整えて職務に入る。8の半刻。これもいつも通りだ。
542: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/16(月) 20:26:55.64 ID:6z/X/rfuO
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「失礼します」
先ほどとは打って変わって、荒れた様子の部屋だ。部屋の隅で、年老いた男……エストラーダ侯の目が光った。まるで幽鬼のように。
543: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/16(月) 20:27:23.04 ID:6z/X/rfuO
私は溜め息をついてドアを開ける。果たして、その男は階段を塞ぐように立っていた。
「……オーバーバックさんですか。今までどこに」
「お前の言う通りの『鼠狩り』さぁ」
544: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/16(月) 20:27:50.52 ID:6z/X/rfuO
キャラ紹介
ミカエル・アヴァロン(47)
男性。181cm、63kgのやせ形。細目で短い白髪頭で、いつも穏やかな微笑みを湛えている。
545: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/16(月) 20:28:33.64 ID:6z/X/rfuO
今回はここまで。シェイド視点→プルミエール視点と続く予定です。
546:名無しNIPPER[sage]
2020/11/17(火) 17:40:57.47 ID:/TdwIN4DO
乙乙
547: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/18(水) 22:58:29.08 ID:lSBzGI7SO
第24-1話
548: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/18(水) 22:59:52.34 ID:lSBzGI7SO
統治府に近付くに従って、兵士の数が増えてきた。一昨日より多いかもしれない。
「そんなにあの娘が重要なのかねえ」
「よく分からないにゃ。殺す相手を守る意味はもっと分からないにゃ」
549: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/18(水) 23:00:23.05 ID:lSBzGI7SO
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「お嬢様、『蜻蛉亭』に御用で?」
館の呼び鈴を鳴らすと、執事風の初老の男が出てきた。
550: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/18(水) 23:01:28.86 ID:lSBzGI7SO
「というわけで交渉さ。あたしらはあそこにいる人物に接触したい。統治府には関与できなくても、さっき言ったテルモンの高官からなら何とかできるだろ?」
「口利きをしろってことね。……そうね、不可能じゃない。でも、多少の面倒は伴うわね。報酬は?」
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