548: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/18(水) 22:59:52.34 ID:lSBzGI7SO
統治府に近付くに従って、兵士の数が増えてきた。一昨日より多いかもしれない。
「そんなにあの娘が重要なのかねえ」
「よく分からないにゃ。殺す相手を守る意味はもっと分からないにゃ」
ボクらはプルミエールの魔法で人間に化けていた。持続時間はほぼ半日。魔法が解けるまでは、ボクらは姉弟か親子にしか見えないだろう。
魔法がかかっているとは言っても、デボラさんの胸は相当に目立つ。周囲の男たちの目がそっちに行くのは気に食わない。
「よう姉ちゃん。幾らだ……」
言い寄ってきた男の首筋に、短剣が突き付けられた。
「売りもんじゃないよ。『蜻蛉亭』はどっちだい」
「ひいっっ!!?あ、あっちだ。その物騒なもんをしまってくれっ」
デボラさんが鞘に短剣を納める。さすがに抜刀が速いな。
「『蜻蛉亭』?」
「ああ。一度主人の護衛を受けた所でね。あたしに貸しがあるはずさ。
1度しか行ったことがないから、場所の記憶は曖昧だけどねえ」
「なるほどにゃ。でもそこで情報貰えるのかにゃ?」
「統治府に娼婦を派遣する高級娼館だからね。まあ何かしら中の様子は分かるだろうさ」
統治府から200メドほどしか離れてない場所に、それはあった。蔦まみれの不気味な館。あれが「蜻蛉亭」らしい。
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