39:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:35:40.66 ID:qe4+sBJv0
「ハァーイ、ヨハネ。」
白い月が殊更大きく見える晩だった。
「久しぶりね、マリー。」
40:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:36:35.14 ID:qe4+sBJv0
眼下に見えるは灯りの消えた空っぽの街。
やいのやいの駄弁る天使達は、音もなく春の夜空を滑るようにゆっくりと飛んでいく。
天蓋では、ゆっくりと北斗七星が満月に水を撒こうとしていた。
41:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:37:24.15 ID:qe4+sBJv0
「もうすぐ死ぬ子供だけに見えるそうよ。」
42:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:38:05.50 ID:qe4+sBJv0
朝の陽射しは僅かな木漏れ日となって、ヨハネを照らす。
昨日ほど寝付けない夜は初めてだった。
43:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:38:36.68 ID:qe4+sBJv0
ヨハネの願い通り、花丸はその日来なかった。
44:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:39:29.50 ID:qe4+sBJv0
(あいつ、さすがに心配かけすぎでしょうが。)
5日間も花丸が山に来ない日々が続いた。
45:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:40:40.24 ID:qe4+sBJv0
「ねぇ、マルは死んじゃうのかな?」
震える手でヨハネの手を握りながら、不安げな目で花丸はそう尋ねる。
ヨハネの脳裏にマリーの言葉がフラッシュバックした。
46:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:41:09.20 ID:qe4+sBJv0
祈った。
47:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:41:44.24 ID:qe4+sBJv0
48:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:42:40.35 ID:qe4+sBJv0
小鳥の囀りがいつの間にか寝てしまったヨハネをゆっくりと起こす。
「花丸……?」
目の前の花丸は穏やかな表情ですやすやと眠りについている。そして、驚くべきことに──
74Res/68.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20