6: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:40:02.07 ID:iiO5naNP0
プロデューサーさんに連れられて、事務所についてからは、驚きの連続でした。
テレビでしか見たことない、可愛い女の子たち。
電気屋さんでも見たこともない、たくさん並んだ大きなカメラたち。
部屋一面に並べられた、煌びやかなステージ衣装たち。
7: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:40:35.71 ID:iiO5naNP0
「ところで……先ほどの『最果て』って、なんですか?」
「……やっぱり、分かりづらかったでしょうか」
8: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:41:10.09 ID:iiO5naNP0
その日から今日まで、長い長い時間を、プロデューサーさんと一緒に過ごしました。
貴方との日々は、毎日が宝物ですけれど。
その中でも、ひとつ……。とても心に残っていることがあります。
9: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:43:29.35 ID:iiO5naNP0
「そうしたら……ちょっと、考え方を変えてみましょう」
「考え方、ですか?」
10: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:44:28.77 ID:iiO5naNP0
ぐっと手を握り締めて。ぎゅっと悔しさを抑え込んで。
「こんな私なんかじゃ」………そう言葉を続けようとした、私の口を。
11: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:45:24.57 ID:iiO5naNP0
「高森さん言ってたじゃないですか。『ファンの皆さんに幸せな気持ちになってほしい』って」
「確かにアイドルは甘い世界じゃないです。今回のように、優劣だって勝ち負けだってつきます」
「いえ……もっと厳しいことを言えば、今回が最後のステージなんてこともあり得ます」
12: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:45:57.20 ID:iiO5naNP0
誰かと勝負するのは、とても怖いことです。
もしかしたら、上手く行かないかもしれない。もしかしたら、負けるかもしれない。
もし負けたら、もし続けられなくなったら……。
そんな「もし」ばかりが、私の心に影を落としていました。
13: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:46:57.07 ID:iiO5naNP0
「プロデューサーさん」
「はい」
14: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:48:51.29 ID:iiO5naNP0
その日から、私とプロデューサーさんの「アイドル」が始まりました。
大変な時もありました。
正直、苦しいこともありました。
悔しいことも、悲しいことも……ちょっとじゃないくらい、ありました。
15: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:51:54.65 ID:iiO5naNP0
誰にも教えたことのないお気に入りのカフェは、貴方と一緒に過ごした思い出の場所になりました。
最初に私の手を取った失礼な手は、私が何より安心できる大きな手になりました。
16: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2020/05/09(土) 23:53:44.27 ID:iiO5naNP0
私とプロデューサーさんが過ごしてきた時間。その答えが、結果として出ます。
これまでの時間が正解になるのかどうか、私にはわかりません。
明日のステージが、とても素晴らしいものになっているのか。
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