184:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 11:28:52.06 ID:GVB5f6680
残念ながら、本日は風の影響でトップデッキには立ち入れないようです。
観光客でいっぱいの、凝った照明のシャトルエレベーターにしばし揺られているうち、
気圧差に耳が詰まってきます。
185:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 11:46:35.92 ID:GVB5f6680
どこまでも広がる灰色は、人類の偉大さと愚かさを同時に見せつけてくるようでした。
所々に見える緑色を見つけては、加蓮がほっと胸を撫で下ろします。
北条加蓮の公式カラーになってからも、なる前も、彼女は緑がお気に入りでしたから。
186:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 12:09:26.71 ID:GVB5f6680
ひょいと乗ってみせた凛に奈緒は軽く引いていました。
譲るように凛が場所を開け、不敵な視線で加蓮を挑発します。
「どうぞ」
187:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 12:28:10.42 ID:GVB5f6680
「あ」
「ん、何?」
188:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 12:39:12.17 ID:GVB5f6680
「幸せってクリームの事だったんだね」
「違うと思う」
189:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 12:42:58.73 ID:GVB5f6680
加蓮の呟きに、二人は目を丸くしました。そして揃って、くすりと笑いを零します。
「何言ってんだよ、加蓮」
190:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:08:17.60 ID:GVB5f6680
◇ ◇ ◆
「ただいまー」
191:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:23:37.36 ID:GVB5f6680
「あれ? 今日レッスンだったのか?
渋谷さん達と遠足だって聞いてたような気が」
「遠足だったよー……でも疲れたぁ……」
192:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:29:11.09 ID:GVB5f6680
手伝うと申し出た洗い物を受け流され、
同じく申し出た父もあら珍しいですねと軽くあしらわれ、
加蓮は結局やる事も無く、父と一緒に母の背中を眺めていました。
193:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:38:56.69 ID:GVB5f6680
遠足、と、四人はそう言ってくれました。
ずっと昔から組み立てていたジグソーパズルの、ずっと欠けていた部分の一つに、
今日というピースがぴったりと填まり込むようで。
307Res/234.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20