【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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38: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:43:41.85 ID:U1qw9Qt5O
一時半からの一時間、僕と先輩のA班の昼休みになった。
僕らはロッカールームへ移動して、ゆっくりお昼ごはんを頂いた。

「おっ、美味そうな玉子焼きにタコさんウインナーじゃないか」
「一つ頂きますか?」
以下略 AAS



39: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:46:05.83 ID:U1qw9Qt5O
「んっ、どうした?」
「いや、すっごい数のりかりほ小説がリツイートされているんですよ」

そう、もちろんTERIAさんによって。
しかもそれらの一つ一つへ、彼女は丁寧な感想リプライを送っているではないか。
以下略 AAS



40: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:48:46.48 ID:U1qw9Qt5O
「ええっ!?」

もう一発、大声を出してから「やってしまった」と後悔が襲ってきた。

「それってソイツの処女作だろ?」
以下略 AAS



41: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:51:48.32 ID:U1qw9Qt5O
「生きているうちに、感想貰いたかっただろうな。そのアシカ太郎って奴も」
「はい……きっと、そう思います」

先輩の気遣いに泣き出しそうになるも、どうにかぐっと涙を堪えた。
彼は見ず知らずの誰かの苦しみに、心を痛めることが出来る人なんだって。
以下略 AAS



42: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:54:05.68 ID:U1qw9Qt5O


午後の業務もどうにかこなして、晩の八時にみかんブックス秋葉原一号店は閉店。
シャッターを下ろしてから三十分ほどの店内掃除を終えて、私服へ着替えて、今日のお勤めはおしまいとなった。

以下略 AAS



43: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:56:22.06 ID:U1qw9Qt5O
『っていうか、なんでこんなに投稿されてるの? 今までずっと、三日か四日に一本読めたらいい方だったのに』
『さあな』

さすがに『みんなりかりほ書けば、お前が確実にいいね&リツイート&リプライしてくれるからだろ?』とまでは送れなかった。
いや、送れるものか。
以下略 AAS



44: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:58:46.64 ID:U1qw9Qt5O


生前の僕が、どれだけ必死に求めても得られなかったもの。
それがこうも容易く得られるだなんて……
「いや、嘘でしょ?悪い冗談でしょ?」などと休憩室で零してしまい、先輩から心配されてしまった。
以下略 AAS



45: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:01:34.54 ID:U1qw9Qt5O
改めて、心の傷がどれだけ深かったのかを痛感した。
ついでにTERIAさんからダイレクトメッセージまで来ていたので、そちらも確認した。

『凛も小説書くの始めたんだね、楽しみにしてるから頑張ってね』
『でも、なんていうか……どっかで見たような文体だね。句読点の使い方といい、里歌ちゃんと梨穂ちゃんの台詞回しといい』
以下略 AAS



46: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:03:13.15 ID:U1qw9Qt5O


僕が白井凛さんの肉体へ宿ってから、一週間が経った。
アパートの窓から外を眺めれば、灰色の雲がどんより東京の空を覆っていた。
けれどその間、一度とて「凛さんの魂」が出てくるような出来事はなかった。
以下略 AAS



47: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:04:48.02 ID:U1qw9Qt5O
待ち合わせの時間、朝の十時に秋葉原のUDX前で会ったTERIAさんは、心なしか火曜日の晩よりやつれて見えた。
目の下の隈は相変わらずだし、頬も少しほっそりしたし、何より顔が土気色だ。
しかも今日だって、前回のデートと同じ黒いコート。

「大丈夫か? 色々無理が祟ってるんじゃないか?」
以下略 AAS



48: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 10:06:30.51 ID:U1qw9Qt5O
小一時間ほど電車に揺られ、着いたのは都内の某所にある集合墓所だった。

「ここにアイツが眠ってるのか?」
「うん。お医者様がそう教えてくれた」

以下略 AAS



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