40: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:42:38.98 ID:W4W9+UtG0
31
学生寮・1号館・125号室前
「西園寺さん、いるかしら」
41: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:43:17.90 ID:W4W9+UtG0
32
大校舎1階・寮の連絡通路
玄関に向かっている途中で、誰かにぶつかりそうになった。
42: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:44:34.78 ID:W4W9+UtG0
33
木犀浪学園・敷地内・南西端付近
息が切れた後に、目的の場所に辿り着いた。雑木林にあった道の先に、塀と木に囲まれた三角の空間。後から埋めたのか、地面の色が一部違って、崩れたレンガが残っていて、ぽつんと木が一本。柳だった。
43: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:45:22.35 ID:W4W9+UtG0
34
旧校舎・地下1階・廊下
「あれ……?」『キヨラさん』を追っていたはずなのに、見失ったわ。旧校舎の地下なのはわかるけれど、どこで見失ったのかしら。まぁ、いいわ。行くべき場所はわかるもの。
44: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:45:53.85 ID:W4W9+UtG0
35
旧校舎・地下2階・倉庫
並べられた物が、学校のものではないというのはわかった。捨てることはできないモノが、ここに置かれている。この場所の歴史を語る、多くの物たち。ホスピス以前は、農地だったことは、朽ちかけた農具が教えてくれたわ。あの人形もここから持ち出されたのかしらね、すりガラスのケースには何も入っていなかった。
45: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:46:53.43 ID:W4W9+UtG0
36
旧校舎・地下2階・倉庫
どこで噛みつこうかしら、と身構えるのも疲れて来たわ。西園寺さんの話は雑談だった、よく話題が変わるたびに身構えていたら疲れて来た。私から、かな子の話をしてみても、反応もいつも通りのお上品な西園寺さんで拍子抜けするわ。時々人形を撫でる以外は、妙な行動もないし。西園寺さんが西園寺さんの話をしているだけ。クラスの話をしてみたけど、間違えたことは言ってなかったわ。かな子、大丈夫かしら。
46: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:48:02.01 ID:W4W9+UtG0
「どうしましたの?」
「アナタは誰に愛されたいの?」
「誰に……とは」
47: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:49:19.50 ID:W4W9+UtG0
37
旧校舎・地下2階・倉庫
霊感はない方だと思っていたけれど、背筋が凍る感覚がした。だけれど。
48: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:50:30.19 ID:W4W9+UtG0
「アナタは人形よ。人形が受けるべき愛は、あなたには十分に受けているわ。そうでなかったら、そんなキレイな身なりでそこに座っていないわ。それに、西園寺さんのように今も丁寧に扱ってくれる人がいるのよ?これからも人は変わっても、受け継がれていくでしょうね、アナタもわかっているように」人形の視線が弱まったわ。
「アナタに夢は不相応よ。人形が見る夢ではないわ」もう一度視線が強くなる。西園寺さんもこちらを向いた。
「そんなこと、ありませんわ!」
49: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:51:14.81 ID:W4W9+UtG0
38
旧校舎・地下2階・倉庫
『キヨラさん』は柳清良の幽霊じゃない。どういうわけか人形が物の怪になって、人形は『キヨラさん』を作り出した。『キヨラさん』の話はいつもワンパターンなのは、作り物だから。その割には独立して動いているのは、別の力を得ているから。生徒達の信仰じみた思いで作り物から『キヨラさん』という存在になった。
50: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:52:30.27 ID:W4W9+UtG0
39
旧校舎・地下1階・廊下
帰り道に、『キヨラさん』が立っていた。
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