42: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/01/24(金) 21:44:34.78 ID:W4W9+UtG0
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木犀浪学園・敷地内・南西端付近
息が切れた後に、目的の場所に辿り着いた。雑木林にあった道の先に、塀と木に囲まれた三角の空間。後から埋めたのか、地面の色が一部違って、崩れたレンガが残っていて、ぽつんと木が一本。柳だった。
「柳の下に幽霊って、ちょっと安直すぎるわ……」足を止めて、息を整える。柳の下には幽霊が佇んでいた。いつも通りの優しい表情で、こちらを見ていた。
「お願い、助けて」『キヨラさん』は何も反応しない。
「かな子が、どこに居るのか教えて」何も答えてくれない。
「どうして、守ってくれなかったの」何も答えてくれない。
「あの人形は、なんなの?」少しだけ反応があった。
「教えて。どうして、私に関わるのか」『キヨラさん』は足元に目を移す。
「そこに、何かあるの?」『キヨラさん』は首を横に振る。
「何、私に伝えたいことがあるのかしら」『キヨラさん』の口元が動く。前にも見たわ、ごめんね、と。何を謝っているのか今もわからない。
「わからない、教えてちょうだい」『キヨラさん』の口がゆっくりと動いた、に・せ・も・の。ニセモノ?
「ニセモノ、ってなに?」『キヨラさん』は小さく微笑む。
「待って」『キヨラさん』が動き出すのを追う。
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