ターニャ・フォン・デグレチャフ「さて、副官。着替えを手伝ってくれ」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:31:19.06 ID:1lunNaHlO
「メーデー! メーデー! ライン・コントロール応答せよ! メーデー! メーデー!!」

ライン戦線。
帝国と共和国の国境は激戦地であった。
夥しい数の兵が動員され凌ぎを削り合う地。
そこにターニャ・デグレチャフ少佐は居た。

『こちらライン・コントロール。どうした?』
「敵の航空魔導師並びに戦闘機の数が多すぎる! 現在、損害多数! 僚機は半数を下回り、第二〇五航空遊撃魔導大隊は壊滅! 繰り返す、大隊は壊滅した! 即時撤退許可を求む!!」

デグレチャフ少佐率いる航空遊撃魔導大隊は待ち伏せていた敵の大規模魔導師団により壊滅的な打撃を受けた。しかし司令部は非情だった。

『許可は出来ない。現地点を死守せよ』
「現地指揮官として命令を遂行することは困難であると判断する! 再考を求む!!」
「再考は出来ない。現地点を死守せよ」

(現場の状況がわかって言っているのか!?)

飛び交う敵航空魔導師は散開せずに隊列を維持したまま繰り返し飽和攻撃を与えてくる。
それに対して我が方は身を寄せ合い隙間なく防殻術式を展開するので精一杯であり、攻勢に転じられず、一機、また一機と力尽きていく。

「きゃあっ!?」
「セレブリャコーフ少尉!?」

司令部に直訴していたデグレチャフ少佐を守っていた副官であるセレブリャコーフ少尉が敵の遠距離砲撃術式の直撃を受けて、撃墜された。

「少尉! しっかりしろ! 少尉!!」
「デグレチャフ、少佐……私は、もうダメです」
「諦めるな少尉! すぐ後退して手当てを……」
「少佐……どうか、私を置いて逃げてください」
「ダメだ! 私はそんな弱音は認めないぞ!? 少尉、命令だ! 意識をしっかり保て!!」
「少佐……どうか、早く、逃げ、て……」

(ああ、ダメだダメだダメだ。死んでしまう)

セレブリャコーフ少尉の意識が遠のいていく。
どうすればいい。指揮官として、何が最善か。
考える暇もなく次は大隊副長が餌食となった。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:33:55.77 ID:1lunNaHlO
「少佐殿! ぐふっ!?」
「ヴァイス中尉!?」

意識を失ったセレブリャコーフ少尉を抱いて茫然としているデグレチャフ少佐を庇い、今度は大隊副長であるヴァイス中尉が被弾した。
血反吐を吐きながら彼は大隊長に懇願した。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:36:23.77 ID:1lunNaHlO
「俺が先陣を切る。グランツ少尉は直援につけ。ノイマンとケーニッヒは空路を確保しろ」
「了解!」
「どでかい風穴こじ開けてやりますよ」
「小柄な少佐には不釣り合いな程のね」

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:39:00.37 ID:1lunNaHlO
「グランツ、もう一度だけ言う。命令に従え」
「指揮権は副長に移っているので聞けません」
「ならばヴァイス、この馬鹿に命令してやれ」

殴りたい衝動を堪えてヴァイスに命じると、彼は深々と頭を下げてから、グランツに告げた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:41:03.85 ID:1lunNaHlO
「ああ、そんなっ! 司令部が!?」

戦線を離脱したデグレチャフ少佐は絶望した。
帝国軍ライン方面司令部は敵爆撃機による攻撃で、完全に破壊されていた。瓦礫の山である。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:44:27.80 ID:1lunNaHlO
「少佐……デグレチャフ少佐」
「んあ?」
「大丈夫ですか? すごくうなされていました」
「セレブリャコーフ、少尉……?」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:45:30.49 ID:1lunNaHlO
「そんなに恐ろしい夢だったのですか?」
「ああ、ああっ! 怖かった! 苦しかった!」
「お可哀想に。もう平気ですよ……よしよし」

みっとなく泣きじゃくるデグレチャフ少佐。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:47:37.10 ID:1lunNaHlO
「なるほど。それは怖い夢でしたね」
「うん……死ぬほど怖かった」

デグレチャフ少佐は階級を忘れ、ただのターニャとして、自分が見た悪夢を語って聞かせた。
セレブリャコーフ少尉はそんな幼女の話をまるで実の姉のように親身になって聞いてくれた。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:49:45.64 ID:1lunNaHlO
「私は少佐殿を冷酷な方だと思っていました」

その印象に何ら間違いはない。
デグレチャフ少佐は冷酷な帝国軍人である。
自他のみならず、上層部すらも知るところだ。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:52:20.20 ID:1lunNaHlO
「私は……自分のことしか考えていない」

そう独白すると、セレブリャコーフ少尉が興味深そうに見つめてきて、胸の内を吐き出した。

「私が泣いたのは、自分の育てあげた部下を失ったことが悲しかったからだ。だから、私は」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:53:41.53 ID:1lunNaHlO
「やれやれ、大隊諸君も気の毒に……」

まるで人ごとのように加害者の少佐は嘆いた。

「こんな歪んだ私に愛情を向けられるとはな」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:54:38.38 ID:1lunNaHlO
「む? なんだ、もう朝が来てしまった……」

見れば窓の外が白んできた。夜明けが近い。
結局、一晩中副官と語り明かしてしまった。
いかに同性とはいえ、同室はやはり問題か。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:56:01.56 ID:1lunNaHlO
「さて、副官。着替えを手伝ってくれ」
「はい、喜んで」

いそいそと寝巻きを脱いで、少佐は気づいた。

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2020/01/15(水) 01:07:47.85 ID:PQc5Riooo
最後の最後でまた糞がでてきたぞ


15:名無しNIPPER[sage]
2020/01/15(水) 07:34:51.21 ID:MuJEcqBDO
幼女だからね
仕方ないね


16:名無しNIPPER[sage]
2020/01/21(火) 12:12:23.85 ID:6928Uh6R0
とりあえずヴァイス君はしけいということで


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