ターニャ・フォン・デグレチャフ「さて、副官。着替えを手伝ってくれ」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/01/14(火) 23:39:00.37 ID:1lunNaHlO
「グランツ、もう一度だけ言う。命令に従え」
「指揮権は副長に移っているので聞けません」
「ならばヴァイス、この馬鹿に命令してやれ」
殴りたい衝動を堪えてヴァイスに命じると、彼は深々と頭を下げてから、グランツに告げた。
「グランツ少尉、幼女になど構うな」
「ヴァイス!? 貴様ぁ……!」
よもやヴァイス中尉が歯向かうとは思わず。
裏切られた気持ちで怒り狂うデグレチャフ少佐に構わず、ヴァイスは決死隊を指揮した。
「敵魔導師団は正面から突っ込んでくるぞ! 我々も正面から打って出る! 行くぞ!!」
「了解!」
「よもや正面から来るとは思わんだろうな」
「ああ、度肝を抜いてやるぜ」
防殻術式を解除して、銃弾が降りしきる真っ只中へと突っ込むヴァイス。それを追う隊員達。
「待て! 待って! 頼む! お願いだから!?」
戦場に響き渡る、か細い幼女の悲痛な叫び声。
届かぬ筈はないだろうに、彼らは止まらない。
四面楚歌の中、近接戦闘で血路を切り開いた。
「デグレチャフ少佐! 行ってください!」
(行けない。お前たちを置いて私は行けない)
涙を拭ってデグレチャフ少佐は覚悟を決めた。
セレブリャコーフ少尉を捨て、彼らに殉じる。
願わくば、落下の衝撃に耐え、地上の地獄から免れて、この副官だけは生き延びてくれと。
腕から力を抜こうとした少佐に副長が怒鳴る。
「大隊は何度でも蘇る! デグレチャフ少佐! あなたさえ居れば、大隊は不滅なのです!!」
だから生き残れと、副長であるヴァイス中尉に叱咤されて、デグレチャフ少佐は目が覚めた。
必ず、この落とし前はつけさせる。必ずだ。
(覚えていろよ。虫ケラ共。存在Xもだ!!)
この戦場に舞い戻り共和国を血祭りにあげる。
1匹たりとも残さず殲滅して神を地上から消す。
そう固く決意して、血路を全速力で通過した。
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