ターニャ・フォン・デグレチャフ「さて、副官。着替えを手伝ってくれ」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/01/14(火) 23:49:45.64 ID:1lunNaHlO
「私は少佐殿を冷酷な方だと思っていました」

その印象に何ら間違いはない。
デグレチャフ少佐は冷酷な帝国軍人である。
自他のみならず、上層部すらも知るところだ。

「ですが少佐は、部下思いの優しい上官です」

少佐は思わず笑いそうになった。
会社勤めしていた生前とは真逆の評価だった。
部下に駅のホームで自らがリストラした部下に突き飛ばされ呆気なく電車に轢かれて死んだ男にはあまりに不似合いな表現だ。あり得ない。

「少尉は私を誤解しているようだな」
「いいえ。小官は確信しております」

確固たる意思と自信を持って、少尉は語る。

「少佐殿は部下の為に涙を流せる方です」
「あ、あれはあまりにも悲惨だったから……」
「本当に部下をただのコマだとしか思っていない指揮官ならば、きっと涙は流せませんよ」

涙の跡は擦っても落ちない。
顔を洗いたかったが、少尉が離してくれない。
せめてもの抵抗として両手で顔を覆った。

「少佐殿はお優しい方です」
「私は……優しくなどない」
「小官はそんなデグレチャフ少佐のことが……」
「やめてくれ!」

自分を突き飛ばしたかつての部下の顔が浮かんで、セレブリャコーフ少尉の言葉を拒絶した。


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