174: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:58:49.72 ID:ZRhpxi3E0
結局、女性2人に両腕を引っ張られ、プロデューサーは高山家へと招き入れ……いや、引きずり込まれた。
手際よく夕食の調理を始める紗代子の母を横目に見ながら、プロデューサーは紗代子に小声で話しかける。
P「なんだか……紗代子とはちょっとノリが違うな」
175: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:59:15.22 ID:ZRhpxi3E0
「ただいまー。姉ちゃん今日はもう帰って……あれ? お客さん?」
P「あ、ああ、あ、ど、どうも」
「どうも……どなたさん?」
176: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:01:06.98 ID:ZRhpxi3E0
P「あ、しょ、し、職業は、あい、あ、アイドルのぷ、プロデューサーを……」
「そうなんですかー。僕も好きですよ、アイドル」
紗代子「そ、そうなの? えへへ」
177: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:01:35.13 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「なんだかすみません。ノリの軽い家族で」
P「いや、ごちそうになった」
178: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:02:15.15 ID:ZRhpxi3E0
『歌声は魂に届いた』
179: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:04:39.20 ID:ZRhpxi3E0
高木社長「き、君!?」
765プロ社長の高木順二朗が、目を剥いて驚いた後、心底嬉しそうに両手を開く。
高木社長「ついに君は、あそこから出てきてくれたんだね。いや、待っていたよ」
180: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:05:18.23 ID:ZRhpxi3E0
高木社長「まあそれは、2人の問題だ。高山紗代子君は、確かに目的であるトップアイドルにちゃんと向かっている。あの娘の望む通りに」
P「そうですとも。ギブアンドテイクだ。お互いがお互いを利用して、何が悪いというんです!?」
高木社長「……ひとつだけ、君に言っておこう」
181: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:06:17.11 ID:ZRhpxi3E0
高木社長「先程も言っただろう? これは経験則だよ。そしてそのいつかがやって来た時に、君はプロデューサーとしての真価が問われるだろう」
P「……お言葉は、覚えておきます」
高木社長「うむ。それはそうと、気になることがあるんだが」
182: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:06:51.70 ID:ZRhpxi3E0
765プロ劇場において、高山紗代子の名前は少しは知られ始めている。
だがそれは、765プロの新鋭アイドルメンバーの1人としてであり、単独のアイドルとしては「ああ、あの娘か」程度の認知であるのが大半だ。
無論。紗代子のファンも存在はしている。が、まだこれといって目立った活動実績のない紗代子のファン達も今は「ちょっと気になる娘」「あの娘、可愛いな」「今後に注目をしている」といった人達だ。
事実、今日は紗代子が主役のセンター公演だが、客席は探せば空席もあるといった状況である。
183: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:09:41.07 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「筑波山からの帰り、お話ししたことです」
プロデューサーの脳裏に、あの時の事が蘇る。
そう。あの時、紗代子は……
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