182: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:06:51.70 ID:ZRhpxi3E0
765プロ劇場において、高山紗代子の名前は少しは知られ始めている。
だがそれは、765プロの新鋭アイドルメンバーの1人としてであり、単独のアイドルとしては「ああ、あの娘か」程度の認知であるのが大半だ。
無論。紗代子のファンも存在はしている。が、まだこれといって目立った活動実績のない紗代子のファン達も今は「ちょっと気になる娘」「あの娘、可愛いな」「今後に注目をしている」といった人達だ。
事実、今日は紗代子が主役のセンター公演だが、客席は探せば空席もあるといった状況である。
P「見てろよ。そのうち、紗代子単独でもこの劇場を満席にしてやる」
舞台袖から客席を見ながら、プロデューサーは呟く。
そこへ紗代子がやって来る。
紗代子「プロデューサー、行ってきます!」
舞台に上がる時、すなわち仕事の時、紗代子はメガネを外す。意志の強い瞳が、普段より更に際だって見える。
表情だけ見れば、自信にあふれている。
だが、その実この少女は、コンプレックスという弱い自分を抱えているのを、プロデューサーは知っていた。
P「ホウキは必要か?」
紗代子「え? あ、いいえ。もうわかっていますから、プロデューサーの教えは」
紗代子は、はにかんだように笑った。
どうしたことか、今日は本当に自信に満ちているかのようだ。
何かあったのだろうか。
紗代子「じゃあプロデューサー……約束を果たします」
P「約束?」
344Res/278.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20