37: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:59:50.63 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん……これ夢なんでしょうか?」
「なあ美穂。俺のほっぺつねってくれないか?」
「あの、私のほっぺもつねってもらって良いですか?」
38: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:01:04.65 ID:nY0iWbpOO
「早起きしてジョギングしようと思ったんですっ。でも流石にこんなに雪が降っていたら難しいですね」
一晩あければ悪い夢が醒めてくれることを期待していたのに、待っていたのは余計意味不明な光景。女子寮ごと北国にワープしてしまった感覚に陥ってしまうが周りの風景は昨日と変わりがない。
「今日李衣菜殿と美嘉殿の家に行くんでしたよね? しかしこの天候、まともに運転できなさそうですが冬用タイヤの用意はあるのですか?」
39: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:01:43.91 ID:nY0iWbpOO
今でこそステージで激しいダンスも踊りバラエティ番組でロードランナーの上を走ってクイズに答える加蓮だけど、昔は身体が強くなく入退院を繰り返していたそうだ。本人は大丈夫大丈夫と言ってはいるが……。
「みんな過保護だって。それに今頗る体調良いから大丈夫だよ、風邪なんかひくわけないって」
「しんどくなったらすぐに言うんだぞ? 加蓮に風邪引かせようものなら先輩に何をされるか」
40: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:02:12.92 ID:nY0iWbpOO
「えっと確か、この辺りだったよね」
「あれあれ! 表札にも多田ってあるよ」
案外李衣菜の家は事務所の近くにあった。加蓮と美穂を車内に残してチャイムを鳴らす。ピンポンとチャイム音が響くも出て来る気配はない。というか他の家同様誰かが住んでいる空気ではなかった。
41: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:03:34.52 ID:nY0iWbpOO
「李衣菜の部屋にも……いないか」
部屋という部屋を探して回ったが石像の一つもありゃしない。そりゃあ一般家庭に自分の姿を象った石像があれば怖いけどもさ。分かったこといえば李衣菜の部屋はすみずみまで掃除が行き届いているということくらいか。響子が見たら不満を覚えそうだ。
「李衣菜ちゃん……」
42: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:04:03.06 ID:nY0iWbpOO
「やっぱ美嘉も莉嘉もいないか」
城ヶ崎家も探索してみたけど真新しいものはない。姉妹の石像は当然ないし、強いて気づいたことと言えば美嘉の部屋にミニうえきちゃんが飾ってあったことくらいだ。
「お前は何か知らないのか?」
43: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:05:56.78 ID:nY0iWbpOO
「これ使いな」
「えぐっ……ありがとうございます……ごめんなさい、プロデューサーさんのハンカチ借りちゃって」
白いハンカチに涙が染みる。なに、ハンカチの方も俺に使われるよりも女の子に使ってもらった方が嬉しいに決まっているさ。
44: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:07:59.87 ID:nY0iWbpOO
「プ、プロデューサーさん……」
「美穂、俺はここにいるよ」
「えっ?」
45: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:08:27.62 ID:nY0iWbpOO
「……」
「……」
運転席と助手席に並んで座る俺と美穂は会話もなく、お互い顔を赤くしていた。我ながらよくもまぁあんな臭い台詞を吐いたものだ。気まずそうなオーラを出している俺たちを後部座席に座る加蓮はへー、ふーん、そうかぁ、と単語を発さず1人納得したようにニヤニヤしている。これは当分2人しておもちゃにされそうだ。
46: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:09:12.02 ID:nY0iWbpOO
「なあ卯月。何やってんの?」
「見ての通り、雪ぴにゃこら太です! 肇ちゃん、陶芸やってるから雪だるま作るのも上手なんですよ」
「幼き頃から大雪が降ると祖父に雪だるまの作り方を教えてもらったものです」
143Res/165.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20