43: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:05:56.78 ID:nY0iWbpOO
「これ使いな」
「えぐっ……ありがとうございます……ごめんなさい、プロデューサーさんのハンカチ借りちゃって」
白いハンカチに涙が染みる。なに、ハンカチの方も俺に使われるよりも女の子に使ってもらった方が嬉しいに決まっているさ。
「私、ずっとみんながいるって思ってたんです」
涙が混じりながら、ゆっくりとゆっくりと美穂は話し始めた。
「卯月ちゃんや響子ちゃんがいて、美嘉ちゃんや李衣菜ちゃんたちがいて、プロデューサーさんがいて。アイドルになって出会った人たちと、これからもずっと一緒に頑張って行くんだって。そう、思ってました」
これならもずっと。その言葉の重さにズキリと胸が痛くなる。そんな俺の表情を見ることなく美穂は続けた。
「もっと沢山の曲を歌って、もっと沢山のお芝居をして、もっと沢山の仲間たちが増えて。わがままかな? って思うけど……そんな毎日を過ごせたら、きっと楽しいって。でも、みんないなくなっちゃいました。今いるみんなだって、明日になれば」
「美穂!!」
考えるよりも先に身体が動いていた。頭が冷静になってようやく、怯える小さな身体を抱きしめていることに気付いた。
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