8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 20:31:04.92 ID:clFucneV0
威圧するような、あまりに大きなその声は、初めは私に向かって飛んできたのだと思ったけれど、周囲にそんな声を発している人間はいない。
立ち止まり耳を澄ませると、どうやらそれは一つ先の曲がり角から発せられているらしいことが分かった。
覗いてはいけない。
9: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 20:33:23.15 ID:clFucneV0
うそ。
なんとかなっちゃった。
10: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 20:35:58.92 ID:clFucneV0
やがて到着したのは、駅に程近い小さな公園だった。
肩で息をしながらベンチに腰掛ける男性に続き、私もその隣へ少し間を空けて座る。
11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 20:38:52.85 ID:clFucneV0
「それで、ここからが本題。渋谷さん、アイドルになりませんか?」
「えっ。……えっ?」
12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:04:55.70 ID:clFucneV0
○
明朝、がらがらがらがらと響く重い音で目が覚めた。
13: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:06:34.58 ID:clFucneV0
「散歩。行こっか」
散歩、というワードに反応してハナコは私のあとについてくる。
14: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:08:33.21 ID:clFucneV0
お店に入り、ハナコのリードを外してやる。
かちん、という金具の音と共にハナコは店内を真っすぐに突っ切って家の方へと消えていった。
15: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:10:10.36 ID:clFucneV0
リビングでは母がソファに腰かけて「お昼、何がいい?」と聞いてくるので「おいしいの」と返す。
「おいしくない方が珍しいでしょう?」
16: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:13:24.30 ID:clFucneV0
〇
アイドルにスカウトされた一件以降の私の日常は、まさに平穏そのもので、高校生としての生活にも慣れ、級友とも打ち解け始め、私の青春は順調と言えそうだった。
17: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:15:04.31 ID:clFucneV0
はぁ。
短く息を押し出して、再び校庭を見るともなく、眺める。
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