11:名無しNIPPER[saga]
2019/10/15(火) 04:35:49.81 ID:wwRaJCMq0
しばらくその状態が続いて、ふうとリーテが息を吐く。幾らか取れた薬草を、腰につけた小さなポシェットのようなものにいれて立ち上がる。
「このあたりはもうないようです、他を探しましょう」
希望されている量には満たず、他を探さなければいけない。わかったといって頷き、薬草を探し始めたリーテの後ろを着いていく。
12: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/12/13(金) 02:14:42.22 ID:Zw5OVItT0
けれどそもそも、前世(まえ)の記憶は辿ろうにも、自分には――。
「すいません、言いづらいこともありますよね」
「……いや、大丈夫」
13: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/12/13(金) 02:42:38.15 ID:Zw5OVItT0
薬草の採取の依頼(クエスト)は無事終わり、報酬も受け取ることができた。採取した薬草は、ここのところ不作らしく、自生しているものを集めなければいけない状況、ということもあり、通常よりも報酬の入りがいい。と、一緒に食事をとっているリーテが教えてくれた。
「といっても、先輩にあたる冒険者の方が言ってたことなんですけどね」
「何もわからない自分からすると、そう言う話はありがたいよ」
14: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/12/13(金) 02:48:21.44 ID:Zw5OVItT0
それに今回はたまたまリーテと組むことが出来たが、明日は別の冒険者と約束した依頼(クエスト)をこなすそうだ。
「(…明日は1人か。誰か一緒に組めそうな人を探さないと)」
今日はたまたま戦闘はなくても、魔物が存在する世界。1人でうろつくほどの実力はないから、もしどうしても誰とも組めなければ街中でできそうな依頼を探すしかない。それがもしなければ、街中でこの世界や町の周辺の情報を得る為歩き回るか。
15: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/12/18(水) 02:34:48.23 ID:IMXWgdCn0
「(困ったな)」
翌日、受けられそうな依頼(クエスト)の張り出されていないか探したが、残念ながら見つからなかった。やれそうなのは、農作物を荒らす魔物の討伐。チームを組める相手がいればという前提もあり、魔物との戦闘に経験も実績もない自分には単独は無理だ。
身元もわからないような自分のような人間が、ギルド協会が審査を含め訓練を施し、結果問題ないと判断した人間を加入できる。それがギルド。ギルドメンバーは便利屋のようなもので、日々どこからかの依頼があって成り立つ職業。必ず、自分が望むような仕事がある訳でもない。あっても、それを受領できるのは早い者勝ちだ。
16: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/12/18(水) 03:18:18.05 ID:IMXWgdCn0
街を散策すると、それなりの賑わいを見せている。白い石が壁となっている建物を主流に、大きな広場まで道沿いに伸びている。その多くは酒場や宿屋、武器や防具を売る店といった、ギルドメンバー向けのものが立ち並んでいた。
横切る人々も、皮の鎧と剣。あるいはローブと杖といった、ギルドメンバーらしき人が多い。ここの住人、という人間は商店にいる店員ぐらいだろうか。
見慣れたとは思えないものの、どこか知っているという感覚が、どうしてもざわつく。いつか、どこかで、自分を知っている人間が、声をかけてきそうな。
17: ◆e6bTV9S.2E[sage saga]
2019/12/18(水) 03:19:14.34 ID:IMXWgdCn0
ここまで。何にも決まってないから未だにふわふわしてるねぇ。
18: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2019/12/22(日) 02:50:32.10 ID:ZitEDe6b0
声をかけてきた相手も、自分の様子に驚いていた表情をしている。
「おっと、どうしたい?」
「いえ、少し考え事を…」
19: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/02(木) 04:09:15.60 ID:FHy5Fzra0
男の名前はヴェルズというそうだ。各地を放浪しながら腕試しをし、日銭の為に依頼(クエスト)をこなすギルドメンバー。これからこなす魔物討伐の準備の為、薬屋を探していたとのことだ。
「ふーん、記憶がないねぇ」
「えぇ、まったく」
20: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/02(木) 11:06:06.11 ID:FHy5Fzra0
「ありがとよ。おっと、あんたの名前聞いてなかったな」
「ナシノ…、ナシノといいます」
「あいよ。ナシノ、またどっかであったらよろしく頼むわ」
21: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2020/01/02(木) 13:32:35.38 ID:FHy5Fzra0
「貴方、お店の前で突っ立っているのは、あまりよろしくないわね」
「あ、すいません」
お店から出てきた女性にそう声をかけられて、慌てて店から少し離れる。自分で思ってるより、長くその場にいたのかもしれない。ちゃんと女性に挨拶もできないまま、逃げるようにその場を離れようとした。
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