吉田春「便器の子?」水谷雫「ハル……あんたどんな耳をしてるの」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:09:27.59 ID:zHu/paS2O
水谷雫は勉強が大好きなガリ勉女で将来の夢は年収一千万円という現実的な考えの持ち主だ。

小学校の時にクラスで飼っていたウサギが死んでしまった際にも家に帰って勉強をすることを優先し、薄情とも言えるその振る舞いからブリザードと呼ばれて以来、友達はゼロ。皆無だ。

そんな氷のガリ勉女の水谷雫であったが高校に進学した折、隣の席の怪物くんこと吉田春との事故みたいな出会いをキッカケにして彼に巻き込まれる形で友達ゼロの境遇から抜け出した。

「ミッティ、一緒に映画を観ませんか?」
「夏目さんの家で?」
「違いますよ! 映画館に行きましょう!」
「映画館で観る映画はコスパが悪いから嫌い」
「コ、コスパって……」

コスパとはコスト・パフォーマンスの略であり、日本語に変換すると費用対効果となる。
つまり、還元率が悪いと雫は指摘した。
リアリストの雫は友人である夏目あさ子の誘いを現実的な側面から駄目だしをする。
ちなみにミッティとは雫のあだ名である。

「どうせすぐにレンタル100円で観れるし、もしかしたらそれよりも早く地上波で無料放送するかも知れないから、わざわざ映画館に観に行く必要性が感じられない。よって、却下」
「ミッティのようなコスパ重視の若者が今の日本の映画界をダメにしてるんですよ!」
「だったら料金を下げるべき」

1回の観賞で高校生1500円とか信じられない。
水谷雫の家庭環境は少々複雑で、簡単に説明するとせっせと赤字をこさえるダメな父親の代わりに優秀な母親が単身で出稼ぎをしてそれを賄っていて、余裕がある暮らしとはとても言えない。

もっとも一部の映画館では料金を値下げして高校生1000円で観れるところもあるらしいが、その事実は雫はおろか夏目さんも知らなかった。

(映画を観て学力が上がるとも思えないし)

なので一度観たらはいおしまいの映画よりもそのチケット代で将来のために参考書を買ったほうがよっぽど有意義であると雫は結論づけた。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:12:42.38 ID:zHu/paS2O
「ミッティの鬼! 悪魔! 雪女!」
「そんなに怒ってどうしたの、夏目さん」

騒ぎを聞きつけたササヤンくんこと佐々原宗平が近寄って来て、泣き喚く夏目さんに尋ねた。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:15:18.36 ID:zHu/paS2O
「なあ、雫」
「なに?」

その日の帰り道。
いつものように雫の後ろをついてきた吉田春と2人で下校をしていると、不意に尋ねられた。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:20:18.52 ID:zHu/paS2O
「よし、わかった。それなら仕方ないな」
「うん。わかってくれたなら、良かった」
「俺がお前のチケット代を払ってやる」
「は?」

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:23:15.03 ID:zHu/paS2O
そしてあっという間に週末となった。

「ハルくん3Dメガネ持参ですか!?」
「へへっ! 当たり前だろ!」
「でも何も着けてくることないのに」
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:25:52.61 ID:zHu/paS2O
左からササヤンくん、夏目さん、水谷雫、吉田春の順にそれぞれ席に着いた。

「雫、ポップコーン食うか?」
「いただく」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:28:06.97 ID:zHu/paS2O
「雫、まだ怒ってんのか?」
「……別に」
「悪かったよ」
「ううん。気にしなくていいよ」

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:31:00.58 ID:zHu/paS2O
「ハル、名古屋を外に繋いできて」
「でも、誰かに誘拐されるかも……」
「ちゃんとお願いすれば映画館のスタッフが見張ってくれるから大丈夫。ほら早く行って。早くしないと、映画が始まっちゃうよ」
「どうしてもダメか?」
「ダメ。絶対に周りのお客さんの迷惑になる」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:35:22.22 ID:zHu/paS2O
「ふぅ……間に合ってよかった」
「雫のおかげだな」
「私が今日ここに居るのはハルのおかげ」

なんとかギリギリ間に合い、席に戻ってお互いに感謝の意を示すと、館内の照明が消えて暗くなり、上映開始のブザーの音が鳴り響いた。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:38:14.77 ID:zHu/paS2O
「ハル……起きて」
「んあ? もう朝か?」
「まだ昼間。映画終わったよ」
「便器は? 出てきたか?」
「便器は出てこなかった」
以下略 AAS



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