吉田春「便器の子?」水谷雫「ハル……あんたどんな耳をしてるの」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/09/01(日) 22:31:00.58 ID:zHu/paS2O
「ハル、名古屋を外に繋いできて」
「でも、誰かに誘拐されるかも……」
「ちゃんとお願いすれば映画館のスタッフが見張ってくれるから大丈夫。ほら早く行って。早くしないと、映画が始まっちゃうよ」
「どうしてもダメか?」
「ダメ。絶対に周りのお客さんの迷惑になる」
「雫にとっても、迷惑か?」

(どうだろう。私は迷惑だと思うだろうか?)

上映中、鶏はまず間違いなく、鳴くだろう。
コケコッコーッ! と、鶏の鳴き声が響き渡る。
それはマナーとしては最悪で、間違っている。
だが、それが理由として正しいのだろうか。
自分は、そんな瑣末なことを気にするのか。
答えは否であり、上映中に隣で鶏に鳴かれたからと言って、普段の冷めきった雫は動じない。

だけど、今日に限っては、そうとも言えない。

「せっかくのデートを邪魔されたくない」

そう言って今度は自分から吉田春の手を握ると、彼は一瞬惚けたのちに、慌てて席を立ち。

「すぐに名古屋を置いてくる!」
「急いでね。待ってるから」

(上映までに間に合うといいけれど)

待っているとは言ったものの、やはり心配で。
雫は夏目さんに少し席を外すと伝えて彼のあとを追い、上映中鶏を預かれと無茶を言う吉田春にどう対応していいのかわからず困り果てた映画館のスタッフに頭を下げて、なんとか事なきを得た。


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