230: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 13:55:14.92 ID:S0LjOGb+0
ばたばた、ばたん。
階段を駆け上がる音、扉の開け閉め、あるいはクローゼットのそれ、壁越しの話し声。
231: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 13:56:29.95 ID:S0LjOGb+0
『点呼。番号を』
後藤田提督の声。野太く、低い。それだけ身が引き締まる。
232: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 13:59:38.39 ID:S0LjOGb+0
『後藤田提督』
『どうした、淀の字』
233: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:01:16.70 ID:S0LjOGb+0
『……少し、考える。時間をくれ』
ともあれ内容は理解できた。大淀が言っているのは、つまりこういうことだ。「佐世保や呉、パラオの行動理念と、我々CSARの行動理念は違うのではないか」。
深海棲艦を撃滅せんとする彼女たちと、隊列から落伍した兵士を救わんとする私たちでは、当然倫理や規範、規準が変わってくる。作戦の大義の中にあってなお、我々が追求すべきは果たしていかなるものなのか、大淀は問うているのだ。
234: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:01:46.16 ID:S0LjOGb+0
大淀は静かに了承の言葉を唱えた。あとに続くものはいない。
『……それじゃあ、各自、また会おう』
235: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:04:55.67 ID:S0LjOGb+0
しかし、とはいえ、ここは佐世保鎮守府。何も総勢二十四名でことにあたらなければならないわけではない。そもそも私たちは救難救助がメイン、出撃のスパンは異なるだろう。
「山城」
236: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:05:40.80 ID:S0LjOGb+0
「それもそうだけれど」私は唇を湿らせて、宙を仰ぐ。「最初のブリーフィングのときに説明された海域の図を覚えている?」
「台湾とフィリピン……東シナ海からインド洋まで」
237: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:07:16.21 ID:S0LjOGb+0
「……私だって、そうよ」
裏切られたり、いいように使われたり。そんなものには飽き飽きしている。
結局のところ私たちなぞ一介の兵士でしかないのだろう。大局的な視点を持たず、右往左往するだけの愚かな生き物。少なくとも、一部の上層部はそう考えているに違いない。
238: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:07:43.55 ID:S0LjOGb+0
「時間です」
不知火がついに空き容器をゴミ箱へ放り込んで言った。空中を二度タップするとログイン画面が表示され、その右隅には現在時刻が示されている。
いきましょう。不知火に促されて私たちは会議室へと向かった。指示通り、定刻の五分前。
239: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/03/22(日) 14:08:40.65 ID:S0LjOGb+0
時間になった。ベルが鳴る。
いつの間にか来ていた青葉、大淀、そして霧島の三名が、扉を閉める。
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