奏「夏紀センパイ、付き合っていただけませんか?」
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32:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:37:07.49 ID:lDAUfTp00
奏「映画……映画です。ちょうど観たい映画があるんです。映画ってほら、一人で観るより誰かと観たほうが感想を言い合えたりして楽しいじゃないですか。本当は梨々花を誘うつもりだったんですけど、その、タイミングもいいんで……」
夏紀「映画かぁー」
奏「付き合ってくださったら、あ、べつにおごりとかじゃなくてもいいですし、映画にご同行くださるだけで十分ですので。悪い条件じゃないでしょう?」
33:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:39:50.58 ID:lDAUfTp00
奏「いえいえ、ぜんぜんお気になさらないでください。もともと大して観たいと思っていたわけではありませんし。むしろハーゲンダッツのいちごとキャラメルとチョコミントを一か月連続で奢っていただけると思えばそちらのほうがよほど」
夏紀「コラ」
奏「これぽっちも残念になど思っていませんよ? 朝昼晩とカフェラテを飲めると思えば、映画のことなどきれいさっぱり忘れてしまいそうです」
34:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:41:20.21 ID:lDAUfTp00
夏紀「だって休日は一日練習だから、行くなら平日しかないっしょ」
奏「そんなこと言っても授業が……大会だって近いのに!」
夏紀「練習始まる時間までに戻ってこれば、ダイジョブっしょ」
35:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:41:48.99 ID:lDAUfTp00
夏紀「だって休日は一日練習だから、行くなら平日しかないっしょ」
奏「そんなこと言っても授業が……大会だって近いのに!」
夏紀「練習始まる時間までに戻ってこれば、ダイジョブっしょ」
36:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:42:52.69 ID:lDAUfTp00
そう言ってセンパイは私に向けて、左手を差し出した。
37:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:44:06.34 ID:lDAUfTp00
学校をサボるのは、はじめてだった。
親のフリをして学校に電話をかけるのも、
平日の朝に反対方向の電車に乗るのも、
38:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:44:48.45 ID:lDAUfTp00
映画館は案の定ガラガラで、午前の回、シアターにいたのは私たち二人だけだった。
もし私たちが来なかったら、無人の客席に向けても作品は上映されたんだろうかと、変なことが気になった。
39:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:45:21.82 ID:lDAUfTp00
映画を終えて外に出ると、パラパラと雨が降っていた。
二人とも傘は持っていなかった。
一本だけビニール傘を買い、二人で入って駅までの道を歩いた。
駅に着くころ、センパイの右肩は少しだけ濡れていた。
40:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:46:06.67 ID:lDAUfTp00
夏はあっという間に過ぎた。
二学期が始まると、センパイと顔を合わす機会がめっきり減った。
41:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:46:58.31 ID:lDAUfTp00
一日ごとに空気は冷たくなってゆき、12月になった。
受験戦線が佳境に入り、心なしか校内の空気もぴりついている。
インフルエンザが流行の兆しを見せているとかで、マスクをしてる生徒も増えた。
42:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:47:28.97 ID:lDAUfTp00
その日はいっそう寒い日で、午後からは雪の予報だった。
放課後、夏紀センパイが推薦で大学に合格したことを、久美子センパイから聞いた。
久美子センパイが職員室の滝先生を訪ねた際、たまたま夏紀センパイと遭遇し、教えてもらったらしい。
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