奏「夏紀センパイ、付き合っていただけませんか?」
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45:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:49:08.58 ID:lDAUfTp00
電車を降りると、すっかり日が落ちている。

夜空を見上げると、雲間から姿を現した月がホームを白く照らしていた。スマホを取り出し、月に向けて掲げた。

その瞬間だった。
以下略 AAS



46:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:50:27.07 ID:lDAUfTp00
夏紀『うわっ、出るのはやっ』

奏「なんですかいきなり」

夏紀『だってまだワンコールも鳴ってなくない?』
以下略 AAS



47:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:51:10.69 ID:lDAUfTp00
奏「……で、なんなんですか。何か用ですか」

夏紀『別に用ってほどのもんでもないけど。たださっきあんまり話せなかったから』

奏「そうでしたっけ?」
以下略 AAS



48:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:54:01.41 ID:lDAUfTp00
奏「照れてらっしゃるのですか?」

夏紀『べつに照れてないし』

奏「もしや今もご一緒にいらっしゃるのでは? なにせクリスマスですから」
以下略 AAS



49:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:54:51.04 ID:lDAUfTp00
夏紀「ごめん。心配だったから、ついてきた」

奏「……なんで」

夏紀「カワイイ後輩を心配するのに理由なんかいる?」
以下略 AAS



50:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:56:04.26 ID:lDAUfTp00
奏「私は……」

いつからフツウじゃなくなった?

奏「私はいつだっておかしいですよ」
以下略 AAS



51:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:57:32.89 ID:lDAUfTp00
ふたりで並んで歩くのは、あの日以来だった。

ずいぶん昔のことのようにも、昨日のことのようにも思う。今年もあと少しで終わる。新学期になれば三年生はほとんど学校に来ない。


以下略 AAS



52:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:58:00.91 ID:lDAUfTp00


奏「さむ」
夏紀「さむっ」

以下略 AAS



53:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:58:38.39 ID:lDAUfTp00


夏紀「ハッ…」
奏「ハッピーアイスクリーム!」

以下略 AAS



54:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 14:59:48.77 ID:lDAUfTp00
夏紀「はや……」

奏「ふふん。センパイがニブイんですよ」

夏紀「ぐわ……でも真冬にアイス奢る、ってのもなあ」
以下略 AAS



55:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:00:30.01 ID:lDAUfTp00
私は足を止めて、センパイに向き直った。

相変わらず目つきが悪い。その目をじっと見つめる。

センパイも私を見ている。
以下略 AAS



56:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:01:12.27 ID:lDAUfTp00
奏「夏紀センパイ」


誰かの名前を呼ぶとき、こんな声が出るなんて思いもしなかった。

以下略 AAS



57:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:01:45.35 ID:lDAUfTp00





以下略 AAS



58:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:02:21.04 ID:lDAUfTp00


センパイは私の言葉を聞いても、表情を崩さず、黙ったまま私の目を見つめていた。




59:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:03:16.17 ID:lDAUfTp00
奏「……タルトの、お店があるんです。おいしいって評判の。タルトタタンです。岡崎に……えっと、平安神宮のすぐそばらしくて、」

奏「センパイも無事に受験が終わられたとのことですし、これから冬休みですし、練習のない日に、はい。もし、ご都合がよろしければ、センパイの、ですけど」

夏紀「いいよ」
以下略 AAS



60:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:03:47.95 ID:lDAUfTp00
夏紀「はー、緊張したー」

奏「……なんです」

夏紀「奏の顔、すっごいマジだったんだもん。なに言われるかと思った」
以下略 AAS



61:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:04:17.89 ID:lDAUfTp00
夏紀「ちゃんと奢ったげるから、誕生日祝いも兼ねて」

奏「……ご存知、だったんですか」

夏紀「七日でしょ。一月の」
以下略 AAS



62:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:06:21.25 ID:lDAUfTp00
夏紀「奏のことが好き。

   奏が吹部に入ってくれてうれしかった。
   低音パートを希望してくれてうれしかった。
   一緒にユーフォが吹けてうれしかった。
以下略 AAS



63:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:06:56.65 ID:lDAUfTp00
センパイ。あなたってひとは。

奏「私……、」

どうして、あなたってひとは。
以下略 AAS



64:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:15:48.35 ID:lDAUfTp00
家の前まで送ってもらい、センパイと別れた。

送っていただき、ありがとうございました。よいお年をお迎えください。
そう言って深々と頭を垂れた。
センパイがいなくなるまでずっと、頭を下げていた。
以下略 AAS



65:名無しNIPPER[saga]
2019/07/14(日) 15:17:25.33 ID:lDAUfTp00
見上げた夜空に月が光っている。ケータイを取り出し、カメラモードに切り替えて月に掲げた。

写メを撮って、センパイに送る。

センパイ、見てますか。
以下略 AAS



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