【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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287: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:14:45.17 ID:Bg3Eqo0s0

直後、劇場全体が揺れてしまいそうなほど、大きな歓声がこのみの耳に飛び込んできた。
桃色の光が大きく揺れて、ぱあっと目の前が明るくなった。

声が、届いた気がした。
以下略 AAS



288: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:15:12.39 ID:Bg3Eqo0s0

また涙が零れそうになるのをこらえて、このみは笑ってみせた。
最後だからこそ、みんなで、笑って。
このみはステージの上で並び立つ、仲間たちを見た。
仲間たちと目が合って、準備はできているよと、みんなうなづいて返してくれた。
以下略 AAS



289: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:16:18.65 ID:Bg3Eqo0s0
***

公演を終えたアイドルたちはいま、劇場の控え室に集まっていた。
このみは一番前に立って、他のアイドルたちと向き合っていた。
今のこのみの手の中にはグラスがあって、その中には白い泡の立ったビールがなみなみと注がれていた。
以下略 AAS



290: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:16:51.58 ID:Bg3Eqo0s0

机には簡単な食事や飲み物、菓子類が並んでいる。
定期公演の後の打ち上げは毎回恒例になっていて、今日も控え室にはこうして公演に参加した大勢のアイドルたちが集まっていた。
毎回のことではあるが、人数が人数だけに今日も控え室は満杯で、移動ですれ違うのも一苦労なほどだった。

以下略 AAS



291: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:17:54.26 ID:Bg3Eqo0s0

気が付けば三人の話は、『dear...』のステージの話になっていた。

「あの和服の衣装のこのみちゃん、すっごく綺麗だった! うう〜っ、私もああいう衣装、着てみたいなあ。」

以下略 AAS



292: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:18:36.12 ID:Bg3Eqo0s0

「ええ。私もそう思います。和装の着姿の美しさは、姿勢の美しさから、とも言うくらいですから。」

「えへへ、そうかな? なんか、照れちゃうね。」

以下略 AAS



293: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:19:10.60 ID:Bg3Eqo0s0

たくさんの人の波の向こうで、プロデューサーに話しかけている海美の姿が見えた。
身振り手振りを大きく使って説明している様子が微笑ましかった。
このみが紬の方に視線を戻すと、紬がじっと此方を見ていたらしく、目が合った。

以下略 AAS



294: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:19:37.26 ID:Bg3Eqo0s0

「大丈夫よ、紬ちゃん。」

このみがそう言うと、紬は少し驚いたようだった。
少しの間の後に紬は微笑んで、それからゆっくりと話し始めた。
以下略 AAS



295: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:20:16.67 ID:Bg3Eqo0s0


二人で何でもない話をして、それからこのみは、紬と別れた。
このみが紙皿と箸を片手に歩いていると、後ろから、湿っぽく沈んだような声が聞こえてきた。

以下略 AAS



296: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:20:43.45 ID:Bg3Eqo0s0

「莉緒ちゃん……。」

このみはどう声を掛けていいのか分からなかった。
このみが出来ることは、空いたままの手で、莉緒の手をそっと握ってあげる事くらいだった。
以下略 AAS



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