【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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295: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:20:16.67 ID:Bg3Eqo0s0


二人で何でもない話をして、それからこのみは、紬と別れた。
このみが紙皿と箸を片手に歩いていると、後ろから、湿っぽく沈んだような声が聞こえてきた。

「このみ姉さん……。」

このみのことを、姉さん、と呼ぶのは、一人しかいない。
このみは息を吐いてから、自分を呼ぶ莉緒の方を振り向こうとした。
しかしそれより先に、自分の背中全体が包まれるような感覚があって、それからすぐ、腰まわりがぎゅっと締め付けられた。
このみの肩のそばに、何かが乗るような感覚があった。
このみの束ねた髪の上に、明るい茶色をした長い髪がぱらぱらと流れた。

「もう、莉緒ちゃん。急にどうしたの?」

後ろから莉緒に抱きしめられたまま、このみはそっと首だけ莉緒の方を向いて、そう言った。
返事はなかった。
髪に隠れて、莉緒の表情は見えなかった。
莉緒の腕にぎゅっと力が入ったのが、このみにはわかった。



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