33: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:38:32.52 ID:HvshuUb/0
第一私が知る限りの彼女と言えば、確かに普段から少しばかり口うるさい少女であるものの、
それは仕事に関するミスや手抜きを「しっかりして!」と叱咤するプロ意識の高さがさせる為。
そんな桃子が今はこんな、まるで誰かの注意を引くような――
34: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:39:34.25 ID:HvshuUb/0
またこうなった場合当然だが、彼女と相対していた私は事態の一部始終を目撃した。
つまり、実際に何が起こったのかと言うと。
35: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:40:22.67 ID:HvshuUb/0
「本当に――何?」
二度目の質問には恐怖が混じっていた。
36: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:42:12.51 ID:HvshuUb/0
……ポーンと弾けたようだった。
ずっと、そう、彼女はずっと……抵抗が緩む頃合いを待っていたのだろう。
37: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:46:19.03 ID:HvshuUb/0
それは自分という人間がすぐ傍に居ることを解って貰いたいと願うように。
その知らせを告げる風が彼女の頬をくすぐるように。
38: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:47:29.49 ID:HvshuUb/0
言って、美也が桃子の頭に頬を寄せる。
それに対し、腕の中の少女は遠慮するように身じろいだ。
39: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:48:23.73 ID:HvshuUb/0
そんな私が見守る中、美也は改めて桃子を抱きしめた。
長く、長く、今までで一番力強い抱擁を受けたらしい桃子が、
自分の身体に回った腕へ、おどおどとした両手をそっと添える。
40: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:49:44.53 ID:HvshuUb/0
そして、だからこそ私だって彼女に伝えなくてはいけない。
この世には何を置いても形にしておくべき事柄というモノが確かに存在するのだから。
41: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:50:39.82 ID:HvshuUb/0
「でも、そうすると桃子ちゃんは? 今どんな気持ちでおりますかな〜」
さらには美也がいつかのように問いただすと。
42: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:51:52.87 ID:HvshuUb/0
だが、その目線はしっかり私を捉えていた。
ならば私も彼女を見つめ返し、真剣な気持ちで応えなくてはいかん!
43: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:52:55.26 ID:HvshuUb/0
「ん、まぁ、そうかもしれない……」
「……お日様も無くちゃ困るけどね」
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