29: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:32:35.48 ID:HvshuUb/0
案の定、美也は恥ずかしそうに布団の中へ足を隠した。
あっという間に消え去ってしまう甘い太腿。
勿体ないと心の中の紳士が嘆く。
30: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:33:59.18 ID:HvshuUb/0
「だけど美也、君の脚は恥ずかしがるのが勿体ないぐらい
美しい物だと俺は思う! どうだ? 今度の仕事はグラビアを一つ――」
「へ、変っ態!!」
31: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:35:49.89 ID:HvshuUb/0
「ド変態!」
私の前まで辿り着くやいなや、吐き捨てるように罵声を浴びせて美也との間に収まった。
32: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:37:12.92 ID:HvshuUb/0
だがどうにも様子がおかしく見える。普段と桃子の怒り方が違う――
私がそんな風に感じ始めたのはこの状態が延々五分と長々続き、
その身を押し入れの前まで追いやられてしまった時であった。
33: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:38:32.52 ID:HvshuUb/0
第一私が知る限りの彼女と言えば、確かに普段から少しばかり口うるさい少女であるものの、
それは仕事に関するミスや手抜きを「しっかりして!」と叱咤するプロ意識の高さがさせる為。
そんな桃子が今はこんな、まるで誰かの注意を引くような――
34: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:39:34.25 ID:HvshuUb/0
またこうなった場合当然だが、彼女と相対していた私は事態の一部始終を目撃した。
つまり、実際に何が起こったのかと言うと。
35: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:40:22.67 ID:HvshuUb/0
「本当に――何?」
二度目の質問には恐怖が混じっていた。
36: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:42:12.51 ID:HvshuUb/0
……ポーンと弾けたようだった。
ずっと、そう、彼女はずっと……抵抗が緩む頃合いを待っていたのだろう。
37: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:46:19.03 ID:HvshuUb/0
それは自分という人間がすぐ傍に居ることを解って貰いたいと願うように。
その知らせを告げる風が彼女の頬をくすぐるように。
38: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:47:29.49 ID:HvshuUb/0
言って、美也が桃子の頭に頬を寄せる。
それに対し、腕の中の少女は遠慮するように身じろいだ。
39: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2019/04/27(土) 02:48:23.73 ID:HvshuUb/0
そんな私が見守る中、美也は改めて桃子を抱きしめた。
長く、長く、今までで一番力強い抱擁を受けたらしい桃子が、
自分の身体に回った腕へ、おどおどとした両手をそっと添える。
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