492:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:47:54.18 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「じゃが、それではあやつらには勝てぬ」
だが聞く前に加えて彼の癇に触る愛栗子の言動。紺之介はそちらの方が気に食わず思わずそれについての返答をしてしまった。
紺之介「だからこうして少しでも鍛えている」
493:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:49:10.65 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「はあ、強情なやつよの。勝てぬと言っても全く勝機がないと言っておるのではない。ぬしにとっての勝利とはすなわち幼刀児子炉を手中に収めつつ源氏を制することじゃろう? それが不可能なのじゃ」
紺之介「……」
一言も発さずまるで刀を振るう絡繰のようであった彼の腕が止まる。
494:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:50:08.54 ID:CaLDwjtG0
ここまでの出来事で彼らが児子炉の凶暴さを測れる尺は大きく二つ。
一に盾のような硬度を有すると謳われた俎板を破壊していること。
二に紺之介をも唸らせた刃踏の戦意を削ぐ包容力を有無を言わさず貫いた狂気。
どちらも人智を超えた幼刀の力を覆したとされる情報である。
495:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:51:05.02 ID:CaLDwjtG0
紺之介「どういうことだ?」
紺之介ひとまず愛刀を納め愛栗子の方へと向き直る。
愛栗子「あの控え書きの順は覚えておるな。将軍様が炉を最後に封じ込めたのは彼女を最愛としておったからじゃ。奴はそのことに気づいておらぬ。故に、将軍様のため、奴のためにわらわはもう一度二人を黄泉にて会わせてやるべきじゃと考えておる」
496:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:53:36.02 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「深く愛した故にあのように歪んでしもうたが、奴の恋愛は真のものじゃ。わらわはその尊さに敬愛を捧げたい」
497:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:54:59.25 ID:CaLDwjtG0
辺りは夜。季節は冬間近。
彼らの間には灯一つなし。
しかし微かに慣れた紺之介の夜目に少女の瞳は大きく映った。
498:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:56:06.90 ID:CaLDwjtG0
紺之介はその美の肩に手を置いて呟いた。
紺之介「ああ分かった。お前の言っていることは相変わらず恋愛脳としか思えんが、だが俺はやはりなんとしてでも生きて帰らねばならぬことを思い出した。そのために全力を持って児子炉と対面しよう」
499:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:57:29.48 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「こ、ん……?」
唐突な抱擁に一瞬らしくなく赤面する愛栗子。だがその言葉の意味をゆっくりと噛みしめて彼のみぞおちに額をうずめるとまたいつもの調子にもどって堂々と想いを告げた。
愛栗子「……うむ。惚れ直したぞ紺。やはりわらわの真の恋愛はぬしとでなければならぬ……迷いもあったが、ふみにそれを思い知らされた」
500:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:58:32.97 ID:CaLDwjtG0
愛栗子は紺之介にもう一歩深く寄りかかると彼の手に金色の懐中時計を握らせた。
紺之介「南蛮のものか……?」
愛栗子「絶世の美少女の魂を封じた幼刀 愛栗子-ありす- 。ものにしたくば全力を尽くせ。して、全力を尽くしたくばわらわを振え。それはわらわの真の刀じゃ。露離魂を持つ所有者が使えば心の臓に負荷をかけることで常人にはない速さを得る。わらわがために魂を燃やせ」
501:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:59:20.10 ID:CaLDwjtG0
紺之介「これが……なるほど。しかし取り憑いて早死を誘うとはいよいよ妖刀らしくなってきたな」
揶揄うように薄ら笑いを浮かべる紺之介に愛栗子は「笑い事ではない」と頬を膨らませた。
愛栗子「貸してやるのは決戦のときまでじゃ。わらわはできるだけぬしと共に生きたいと考えておる。故にこれでも貸すのを渋っておったのじゃ。しかしわらわ自身が戦場に立つのはならぬのであろう?」
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