男「この俺に全ての幼女刀を保護しろと」
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373:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:08:38.46 ID:htj7Q5Kz0

愛栗子「なぜわらわがそのことを知っておると思うたのじゃ」

愛栗子がそう振ってから刃踏が次に口を開くまでの間五秒間……二人の間には独特の緊張感が走っていた。

以下略 AAS



374:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:09:19.40 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「言ってしまえばずばり、勘です」

そうしてまた五秒の間。
しかしそれは先ほどのように緊張感から来たものではなく呆気にとられた愛栗子の倦怠感が作り出したものであった。

以下略 AAS



375:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:10:21.85 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「……なんじゃ」

刃踏「……勘、でしたよ。さっきまでは……でもやっぱり確信に変わりました。だって炉ちゃんの所感は愛栗子ちゃんたちの旅が始まった理由に繋がることなんですよ? どんなに興味がなくなって、『ふーん』とか『へぇ』とか少しくらい言いそうなものじゃないですか」

愛栗子「それらを口や顔に出さなかったから一体なんじゃと? 別にわらわが奴の心中に興味がなかっただけの話じゃろ。ここに行くよう提案し情報から動機を確かめようとしたのは紺のためじゃ。分かったならはようその手をはなさんか」
以下略 AAS



376:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:11:16.37 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「くどいぞぬし! 痛めてしまうではないか」

身体が駄目なら声。愛栗子が若干声を張り上げた後に刃踏はそれよりもさらに荒い声を張る。

刃踏「人が人を想う気持ちを愛栗子ちゃんが興味ないわけないじゃないですか!!!」
以下略 AAS



377:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:12:08.06 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子が刃踏の方へと向き直るとまた互いの顔が提灯の灯火に照らされる。

二人は互いの瞳の奥を覗いた。


以下略 AAS



378:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:12:47.57 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「将軍様がわらわらをこの身に変えた順を存じておるか?」

刃踏「ええ、確か……」

愛栗子「わらわ、乱、透、奴、まな、ふみ、そして奴……炉の順番じゃ。どういうわけか幼刀を保護し続けた連中はこの順番を将軍様が大切にした女の順としておるようじゃがそれは全くの真逆じゃ……と言ってもぬしは人の身の頃からそのようなこと分かりきっておるか」
以下略 AAS



379:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:14:17.42 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「つまり将軍様にとって一番の女だったのは奴……というわけじゃな。しかし将軍様が一度の唾つけ以降わらわを美術品のように扱ったことから幕府の連中が勘違いをし刀化の順をもソレと勘違いした。その噂を耳に入れてしもうたあやつは不安になったんじゃろうな……己が最も将軍様を想っておった故に」

愛栗子は呆れながらも哀しみの浮いた顔で呟いた。

愛栗子「少し考えればわかるじゃろ……将軍様にも人並みの心があったならば、情を吹き込んだ者ほど人の理から離れて欲しくはないじゃろて……なぜじゃ、なぜあやつもそれに早く気づかぬ」
以下略 AAS



380:名無しNIPPER
2019/10/01(火) 17:15:04.02 ID:htj7Q5Kz0
一通り愛栗子が胸の内を開くと確かめるように、刃踏が閉ざしていた口を重く開けた。

刃踏「……だから、炉ちゃんを壊そうとしてたんですね。将軍様の元へ炉ちゃんを返すために……炉ちゃんがまた大好きな将軍様に会えるように」

下げられた刃踏の顔には影が落ちる。
以下略 AAS



381:名無しNIPPER
2019/10/01(火) 17:16:48.92 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「はぁ……まあの。しかし紺に直接そう伝えたところで奴がそれを簡単に許すとは思えぬじゃろう? 故にそれが最善と紺に思わせる手立てとしてここに話を聞きに来たというわけじゃ……結果としてぬしに邪魔されてしもうたがの」

愛栗子の放った最後の一言は一見意地悪くも見えるものであったがその内に隠されていたのは彼女なりの場を和らげる冗句であった。

これにより下を向いたままの刃踏が面をあげ一つ反応を見せたならば彼女の狙い通りであったのだがそうはならず。
以下略 AAS



382:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:17:49.87 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「誰が一番愛されていたとか……大切にされていたとか……そんなのやっぱり関係ないと思います。だって結局私たちはみんなこの身体になって生かされた」

刃踏「その時点で!! 将軍様はまだ私たちに生きていて欲しいって願ってくれたってことじゃないですか!!! 私は将軍様のその優しさを……想いを……無下にすることなんてやっぱりできません。守れるなら守り続けたいです!」

刃踏「だって私も将軍様をお慕いしていたから……この想いが炉ちゃんより劣っていたとも思いませんし、優っていたとも思いません。優劣なんてつけられるはずがないじゃないですか」
以下略 AAS



383:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:18:47.93 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「それに私はあそこにいたみんなが大好きだったんです。将軍様も、ぺとちゃんも、乱ちゃんもスグちゃんも俎ちゃんも炉ちゃんも、愛栗子ちゃんも……そして、あの子も」

愛栗子「……そうかの」

互い想い巡らせ目を閉じる。
以下略 AAS



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