365:名無しNIPPER[saga]
2019/08/02(金) 19:18:43.51 ID:jJ6/ECAP0
奴の駆け出した後から他三人も刃踏と落ち合う。
紺之介「須小丸は」
刃踏「はい。須小丸さんならもう落ち着いてますよ」
366:名無しNIPPER[saga]
2019/08/02(金) 19:22:26.17 ID:jJ6/ECAP0
刃踏が腕持つ彼は頭を抱えていた。それもそのはずでここにて情報収集を諦めることは即ち『無駄足』以外の何物でもないからである。
児子炉による源氏の魔の手はすぐそこにある。しかし衝突を避け続けるのもまた透水の命に関わる。
此処に止まれるは今夜一杯と考えている紺之介にとってこの決断は差し出された苦渋を嬉々と呑むに等しいものであった。
367:名無しNIPPER[saga]
2019/08/02(金) 19:23:35.95 ID:jJ6/ECAP0
彼女が刃踏を睨むような目つきで見つめるとその視線に気がついた刃踏が愛栗子に近づき耳元で囁いた。
刃踏「今夜、お話しませんか。みんなが寝た後宿裏で待っています」
368:名無しNIPPER[saga]
2019/08/02(金) 19:24:04.93 ID:jJ6/ECAP0
続く
369: ◆hs5MwVGbLE[saga]
2019/10/01(火) 17:05:38.49 ID:htj7Q5Kz0
ただ一人宿屋の壁に背もたれた愛栗子はじっと夜空に浮かぶ月を眺めていた。
灯りなしの空下は夜目慣れなければただ闇だけが広がり続ける場所。それが幾らかの星々を目立たせ、月にいたってはまるで千両役者のようである。
千両役者となれば愛栗子であろうと誰であろうと目を引かれるのは当然のこと……そこに別物の光割り込むことなき限りは。
370:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:06:38.99 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「お月様、綺麗ですか?」
愛栗子「まあの。じゃが月周りが少し雲がかって見えておる。明日は一雨くるかもしれぬの」
愛栗子は横顔に差し出された提灯の灯りに少し目を細めながらぼやを入れた。
371:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:07:16.80 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「そちらから誘ったにしては随分と遅かったではないか。まったく、わらわの柔肌が羽虫にでもかまれたらどうしてくれるのじゃ」
刃踏「す、すみません。なかなかぺとちゃんを寝かしつけることができなくて……」
愛栗子ため息一つこぼし仕切り直す。
372:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:08:11.41 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「炉ちゃんと俎ちゃんが対峙したとき、炉ちゃんは『将軍さまの愛を受けるのはわたしだけ』と言っていたそうです。確かかどうかは曖昧だそうですが須木丸さんから聞きました」
小ぶり提灯に照らされた二人の影が土の上で揺れる。それを眺めたまま愛栗子は表情一つ変えることなく返答した。
愛栗子「なぜそれをわらわに言う。その話を報告すべきは紺じゃろう?」
373:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:08:38.46 ID:htj7Q5Kz0
愛栗子「なぜわらわがそのことを知っておると思うたのじゃ」
愛栗子がそう振ってから刃踏が次に口を開くまでの間五秒間……二人の間には独特の緊張感が走っていた。
374:名無しNIPPER[saga]
2019/10/01(火) 17:09:19.40 ID:htj7Q5Kz0
刃踏「言ってしまえばずばり、勘です」
そうしてまた五秒の間。
しかしそれは先ほどのように緊張感から来たものではなく呆気にとられた愛栗子の倦怠感が作り出したものであった。
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