男「この俺に全ての幼女刀を保護しろと」
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110:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:36:20.61 ID:BBwPih0C0

首の皮一枚で繋がった雇い依頼に紺之介一行の間では静かな歓喜の波が渦巻いていた。
紺之介の剣豪を自称するに足る確かな風格と愛栗子の放つ圧倒的な美がこの時ばかりは乱怒攻流の目にも輝いて見えた。


以下略 AAS



111:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:36:55.76 ID:BBwPih0C0
月一「……では、五両出そう。明日の早朝、港口まで来てくれ。宜しく頼む」

差し出された月一の手を握った紺之介の表情が何とも表現し難い顔つきであったため、一瞬不思議がった月一だったがとりあえずは商談を成立させ彼らはそれぞれの宿の方向へと別れたのであった。


112:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:38:09.25 ID:BBwPih0C0
…………

愛栗子「むぅ……ここの宿、隙間から潮風が入ってくるのぅ。折角銭湯にて温めた肌が湯冷めしてしまうではないか」

乱怒攻流「というかせっま! 信じられないんだけど!」
以下略 AAS



113:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:39:20.08 ID:BBwPih0C0
紺之介「寝る前に一つ教えて貰いたいことがあるのだが、透水というのはそこまで野蛮な娘だったのか?」

愛栗子「わらわはそうは思わんかったがの。奴は風呂でも泳ぐような水好きでの。放っておけばずっと湯に浸かっておるような奴じゃった」

愛栗子「奴の希望で皆で浜に出かけることもあったの。海なぞ砂つぶが足に纏わりつくだけでも不快じゃというのに、何がそんなによかったのかのぅ」


114:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:40:04.15 ID:BBwPih0C0
愛栗子「まぁというわけで性格だけの話ならそこの背嚢の方がよほど尖っておったと思うがの」

乱怒攻流「なんですってぇ……!」

またも小競り合いが勃発しかけた二人の間に入りて紺之介が愛栗子を促す。
以下略 AAS



115:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:40:52.86 ID:BBwPih0C0

愛栗子の疑問に紺之介は己の胸の内の蟠りを打ち明ける形で答えた。

紺之介「アレを売りに来た船長とやらは仲間が刀の呪いに殺されたと語っていたらしいが、あれが幼刀透水だと仮定してそうなると露離魂を持った一味の誰かが透水を解放し、その状態の彼女に持ち主と船長以外の誰かが殺されたということになる」

以下略 AAS



116:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:42:05.64 ID:BBwPih0C0
紺之介(まだ何かを見落としている気がする)

打ち明けても尚蟠りが晴れない紺之介は店主との会話をもう一度最初から、鮮明に思い出していく。

そうして、遂にその蟠りの正体にたどり着く。
以下略 AAS



117:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:44:04.37 ID:BBwPih0C0
紺之介本人もう少しで全てが明らかになる気がしながら疑問が疑問を呼び唸りを重ねるばかりであった。
そんな彼を見ていて不憫と思ったのか乱怒攻流はあらぬ方向で話を完結させようとした。

乱怒攻流「なんだか知らないけどさ〜? あたしら刀になってからもう何年も経ってるんだし、実際に生きてたころとは性格が違ってる子がいたっておかしくないと思わない?」

以下略 AAS



118:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:44:40.09 ID:BBwPih0C0
紺之介「待て、そう決めつけるのはまだ……」

紺之介の考察脳を愛栗子の大欠伸が遮った。彼が愛栗子の方に目を向けてみると彼女もまた彼のそれを「憶測に過ぎんかもしれぬ」と両手を挙げた。

愛栗子「それもそうじゃの。しかし護衛業で稼ぎ続けるというのも難じゃしの……なんなら本当にわらわで金を借り入れてみるかえ?」
以下略 AAS



119:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:45:16.65 ID:BBwPih0C0
乱怒攻流「ふーん。あんたにしては珍しく面白い冗談じゃない。そんなこと言うなんて、もう頭は寝てるんじゃない?」

愛栗子「そうかもしれぬの。しかし我ながら画期的な考えじゃぞ? 鞘は渡さずに刀身だけを預けるのじゃ。柄は触らせぬように箱にでも入れての……で、金を受け取った後に離れた紺が納刀するのじゃ」

乱怒攻流「ふふふ、何それ。お主も悪よのぅ」
以下略 AAS



120:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:45:50.97 ID:BBwPih0C0
二人して悪代官芝居をうつ彼女らを見た紺之介は宿を飛び出してすっかり日の沈みきった往来を刀屋を目指して駆け抜けた。

紺之介(どうせ後から手元に幼刀が戻ってくるなら百両だって十分すぎるほど一攫千金だ! そういうことか!)




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