屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 20:49:41.99 ID:v9qraTHso
屍男「その日は四人揃って、家で俺の誕生日パーティーの準備をしていたそうだ」
屍男「前の年に、いい加減こんなガキみたいに祝ってもらう必要はないと言ったにも関わらずな。本当に……お節介な人達だ」
屍男「俺は用事があり、家に帰るのは遅くなる予定だった。その隙を見て、サプライズパーティーを企画したんだと思う」
以下略
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 20:50:37.53 ID:v9qraTHso
屍男「俺は警官に話しかけた。この家に住む者だが、何かあったのかと」
屍男「警官は神妙な顔をした後「ちょっと待っててくれ」と言い、家の中に入って行った。そして一分もしないうちに出てきた」
屍男「とりあえず、署に来てくれないか。詳しい話はそこで話そうと、そう言われた」
以下略
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 20:51:45.16 ID:v9qraTHso
屍男「最初、警察は俺を疑っていたんだと思う。だが、アリバイがすぐに証明され俺は容疑者から外れた」
屍男「……俺は絶望した。今までにあった平和が、突如崩れ去った。何が起きたのか理解出来なかった」
屍男「母とは朝に顔を会わせた。いってらっしゃいと、いつもの日常のように家を出た。それが最後になるなんて、思いもしなかった」
以下略
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 20:53:03.81 ID:v9qraTHso
屍男「皮は剥がれ、肉は削られ、苦痛に満ちた表情で死んでいた。実際はそんな顔ではなかったと思うが、俺にはそう見えた」
屍男「……俺は許せなかったんだ。彼女達が何をしたのか、なぜこんな理不尽な目に遭わなくてはいけなかったのか。犯人よりも、そんな不平等が許せなかった」
屍男「現場には壁に、血で描かれた巨大な眼が描かれていた。後から分かったことだが、こいつは“紅眼”と呼ばれている人為らざる者の仕業だった。無論、警察は捜査をしたが、相手は人外だ。手掛かりは何も見つからなかった」
以下略
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345
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◆gqUZq6saY8cj
[saga]
2019/04/06(土) 20:54:11.89 ID:v9qraTHso
屍男「俺は復讐を決意した。必ず、母やあの一家を殺した犯人を地獄に送ってやるとな」
屍男「そこからの流れは簡単だった。裏の世界に入り、“紅眼”の情報をひたすらかき集めた。その傍らで、狩人としての経験を積み、殺しのテクニックを磨いた」
屍男「だが、そう簡単には見つからなかった。“紅眼”は当時の狩人の世界でも、相当な懸賞金が懸けられていた大物だった。奴は姿を隠すのが上手かったんだ。いくら手掛かりを探しても、尻尾一つ見せなかった」
以下略
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◆gqUZq6saY8cj
[saga]
2019/04/06(土) 20:55:52.90 ID:v9qraTHso
吸血娘「先代って、お前が最初じゃないのか?」
魔女「……つまりゾンビくんは二代目ってことか」
以下略
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347
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◆gqUZq6saY8cj
[saga]
2019/04/06(土) 20:57:29.73 ID:v9qraTHso
屍男「その通りだ。彼の存在は俺も耳にしていた。とてつもなく強い狩人がいるとな」
屍男「実際に会うまでは都市伝説の類いの一つだと思っていた。誰もその存在を目撃したことがないというのはあまりに不自然だ。誰かが抑止力として流した噂だとな」
以下略
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348
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◆gqUZq6saY8cj
[saga]
2019/04/06(土) 20:58:39.44 ID:v9qraTHso
屍男「直感的に理解した。この男が“Shadow”なのだと。そして反射的に体が動いた。俺は……立ち去るその影を呼び止めた」
屍男「今にして思えば、愚かな行為だ。彼が目撃者を全て消すというスタイルだったなら、俺はその瞬間に死んでいただろうに」
屍男「俺は彼に、弟子にしてほしいと頭を下げ、頼み込んだ。正直、承諾するとは思っていなかった。相手にされないだろうと、ならばどうやって説得しようかと、頭の中では次の行動を考えていた」
以下略
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 20:59:46.07 ID:v9qraTHso
屍男「初めは耳を疑った。まさか、こんな簡単に上手く行くなんて、思ってもみなかったのだからな。罠かと疑いもしたが……俺に選択肢はなかった。立ち去る影の背中を追うことにした」
屍男「それからはその男と共に暮らし、狩人としての知識と技術を学んだ」
屍男「まあもっとも……教えらしい教えは一切なかったがな。俺と彼の間にまともなコミュニケーションはなかった。言葉を交わしたのもこの出来事を含め数えるほどしかない」
以下略
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350
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 21:02:44.05 ID:v9qraTHso
屍男「そこにあったのは……ベッドで、眠るように死んでいる影の姿だった」
屍男「最初は何者かの攻撃を疑った。だが、それらしき形跡はなかった」
屍男「念のために、死体を検視した結果……老衰だった。彼は寿命で死んだんだ」
以下略
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◆gqUZq6saY8cj
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2019/04/06(土) 21:04:22.59 ID:v9qraTHso
屍男「……だが“Shadow”として殺しを続けているうちに、なぜ彼があんな早死にしたのか、その真実に触れることになる」
屍男「ある日のことだ。いつもと同じ朝、目が覚め、シャワーを浴びていると……手に違和感があった」
屍男「何かと思い、見てみると……」
以下略
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