62: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:04:23.58 ID:l63Jdi8N0
「仁奈ちゃんのママにスタジオまで来てもらうのはどうかな?」
プロデューサーから息を呑む音が聞こえた。呆れているのかもしれない。
仁奈ちゃんは大きく目を見開いてあたしを見ている。
63: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:06:50.05 ID:l63Jdi8N0
それから仁奈ちゃんは震えながらもママに連絡して。
一所懸命に来てくだせーってお願いして。
そして。
64: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:11:14.53 ID:l63Jdi8N0
✉
あれからというもの、仁奈ちゃんは隙あらば手紙の執筆に勤しむようになった。
どんなことを書いてるのか気になってのぞいてみようとすると、きまって手紙に覆いかぶさって見せてくれない。
もしかしてこれが反抗期ってやつ?
志希おねーさん、とても悲しいでごぜーますよ。
65: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:13:56.84 ID:l63Jdi8N0
✉
あれからというもの、仁奈ちゃんは隙あらば手紙の執筆に勤しむようになった。
どんなことを書いてるのか気になってのぞいてみようとすると、きまって手紙に覆いかぶさって見せてくれない。
もしかしてこれが反抗期ってやつ?
志希おねーさん、とても悲しいでごぜーますよ。
66: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:16:23.46 ID:l63Jdi8N0
「あー!!」
いつの間にか仁奈ちゃんが隣にいて、ぷくーと頬を膨らませている。
「手紙は書き終わったの?」
67: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:23:17.44 ID:l63Jdi8N0
✉
「はい、オッケー! 本番もよろしく!!」
本番前のリハーサル。
ディレクターのその言葉を皮切りに、スタジオから出演者が散らばっていく。
68: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:25:59.01 ID:l63Jdi8N0
「おかえり〜。ってその汗はどうしたの?」
「仁奈の母親が乗っている新幹線が、人身事故の影響で運転を見合わせ中だ」
「……」
69: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:32:23.88 ID:l63Jdi8N0
「はじめまして。一ノ瀬志希と申します。早速で恐縮ですが、番組まで時間がありません。いますぐ来てください」
『……申し訳ございません。さきほどプロデューサーさんにも申し上げましたが、どうやっても間に合いそうになくて』
「仁奈ちゃんには、このことをお伝えしたのですか?」
70: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:36:35.39 ID:l63Jdi8N0
「志希」
プロデューサーから差し出されたスマホからはもう声が聞こえない。
あたしの興味はもうそれにはない。
71: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:40:11.41 ID:l63Jdi8N0
「この先に入っちゃだめだよ!」
仁奈ちゃんがいるはずの控室の前には、両手を広げて通せんぼする小さな門番がいた。
72: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:48:10.89 ID:l63Jdi8N0
「お願いやめてよ! 仁奈と約束したんだから! 志希おねーさんだけは絶対に中に入れないでって!!」
ビリっと電流が流れてドアノブから手を放す。
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