8: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:53:30.31 ID:/ibNvBIF0
『探しているファイルがあるの。何処に保存したのかわからなくなっちゃって』
女の子の声が、頭の中に響いた。
同時に、ぼやけた映像が流れ始める。
9: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:54:11.88 ID:/ibNvBIF0
遠い過去の記憶だ。まだ、XPを使っていた頃の。
そうだ。俺は、この崖に潜って探さなければならないものがある。
階層を降り、全ての道を探索し、どれだけ時間がかかったとしても。
10: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:54:44.39 ID:/ibNvBIF0
ツタは充分な太さと硬さがある。。
これは決して千切れない。何故か、確信があった。
「『夢覚』だよ。夢を見ている時、その後の展開が何故かわかったり、現実とは違う常識がいつの間にか思考に定着していたりすることがあるだろう?」
11: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:55:20.97 ID:/ibNvBIF0
洞窟の構造がなんとなくわかった。これも「夢覚」とかいうやつだろうか。
左手の道を進めば、写真がたくさん飾られた場所へ出る。
中央の道は動画の保管庫で、その次は文章を記したノート置き場。
一番右は気に入った音楽をいつでも聞ける空間だ。
12: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:56:00.09 ID:/ibNvBIF0
女の子がクラッカーを鳴らした。顔の部分はぼやけていて見えない。
だが、さっきの女の子の声と同じ声色だった。
テーブルの上には、誕生ケーキや、何品もの料理が並べられている。
13: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:56:31.99 ID:/ibNvBIF0
女の子が消えた。同時に、その場に存在していたはずの部屋も消え去った。
代わりに視界に広がったのは、灰色の洞窟。地面には、キラリと光る何かが落ちていた。
触れてみると暖かくて、でも何故だか切ない。
14: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:57:14.87 ID:/ibNvBIF0
――
――――――――
窓から朝日が差し込んでいる。
奇妙な夢を見たなと思いながら、俺は体を起こした。現実感が精神に馴染んでいく。
15: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/12(月) 20:57:50.25 ID:/ibNvBIF0
続
16:名無しNIPPER[sage]
2018/11/12(月) 22:21:40.49 ID:7d7Eot6ZO
期待
17: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 20:52:48.53 ID:c+BVrGz60
【2】
「お前も大変だよなあ」
18: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 20:53:20.66 ID:c+BVrGz60
「やあ、また会ったね」
俺は再び心象世界を訪れていた。景色は昨晩と一緒だ。
唯一違っているのは、クォ・ヴァディスの姿だった。
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