156: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:54:06.10 ID:Co1Z/VQm0
草原を駆け、雪の結晶が舞う世界へ入った。
どうして雪の結晶ってこんなに綺麗なんだろうな。自然には不思議がいっぱいだ。
青と白ばかりが広がっている。
157: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:54:40.44 ID:Co1Z/VQm0
ある年の冬には、かまくらを作り終えると、彼女のお母さんがおしるこを持ってきてくれて、かまくらの中で飲んだこともあった。
懐かしい日々。雪が思い出を映し出しては消えていく。
158: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:55:14.93 ID:Co1Z/VQm0
先の方に、城? 神殿? とりあえず西洋風のでかい屋敷のようなものが見えた。
いかにもファンタジー作品にありそうだ。
そういえば、絵夢の冒険記にこんなダンジョンがあったような気がする。
159: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:55:49.79 ID:Co1Z/VQm0
「ここが最上階です。本当は変態王子が住んでる部屋なんですけどね」
どんなキャラだそれ。
……もし再び心と体が元気になったら、彼女と一緒にこのゲームをしよう。
160: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:57:42.44 ID:Co1Z/VQm0
暖かい風に包まれる。
とある春の日の記憶が流れ込んできた。
桜の花びらが舞う。
161: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:58:33.34 ID:Co1Z/VQm0
俺は目を閉じた。
これで、彼女は目を覚ますはずだ。
そして、俺はこれから“悲哀を感じる可能性”を対価として悪魔に払い、精神崩壊を起こす。
162: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:59:05.30 ID:Co1Z/VQm0
「馬鹿、馬鹿、私のために」
「お互い様だろ」
163: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:59:46.60 ID:Co1Z/VQm0
結婚しようって、言いたかった。でも、駄目だ。
「私、また悪魔と契約するよ。あなたを助けるために」
164: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 21:00:25.69 ID:Co1Z/VQm0
景色がゆっくりと点滅した。
彼女と話せる時間はもうないようだ。
心がバラバラになるような感覚を覚えた。
165: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 21:01:01.18 ID:Co1Z/VQm0
景色がガラスの様に壊れ、消え去った。
同時に俺の心も割れて、散った。
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