151: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:49:41.52 ID:Co1Z/VQm0
――いつの間にか、俺は白昼夢を見ていた。
「彼女の命の灯は、もうじき尽きる」
152: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:50:17.53 ID:Co1Z/VQm0
俺の意識は病室に戻ってきた。
「本当は、昨日の内に渡そうと思っていたんだけどさ」
153: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:51:32.77 ID:Co1Z/VQm0
もう、いくつの窓の中を旅しただろう。
真っ黒な空間に、いくつもの真っ白なレースが浮かんでいる。
その中には、彼女の実家の部屋の窓にかけられていたものもあった。
154: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:52:09.21 ID:Co1Z/VQm0
何か、心につっかえていたものが取れたような感じがした。
俺は彼女に何かを伝えようとしていた。でも、そのことをずっと思い出せないでいた。
俺は、彼女にプロポーズしようとしていたんだ。
155: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:52:59.23 ID:Co1Z/VQm0
「俺は死ぬわけじゃない。時間はかかるかもしれないけど、いつか心も体も回復する日が来るって信じてるよ」
草原に寝転がって空を見上げた。
156: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:54:06.10 ID:Co1Z/VQm0
草原を駆け、雪の結晶が舞う世界へ入った。
どうして雪の結晶ってこんなに綺麗なんだろうな。自然には不思議がいっぱいだ。
青と白ばかりが広がっている。
157: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:54:40.44 ID:Co1Z/VQm0
ある年の冬には、かまくらを作り終えると、彼女のお母さんがおしるこを持ってきてくれて、かまくらの中で飲んだこともあった。
懐かしい日々。雪が思い出を映し出しては消えていく。
158: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:55:14.93 ID:Co1Z/VQm0
先の方に、城? 神殿? とりあえず西洋風のでかい屋敷のようなものが見えた。
いかにもファンタジー作品にありそうだ。
そういえば、絵夢の冒険記にこんなダンジョンがあったような気がする。
159: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:55:49.79 ID:Co1Z/VQm0
「ここが最上階です。本当は変態王子が住んでる部屋なんですけどね」
どんなキャラだそれ。
……もし再び心と体が元気になったら、彼女と一緒にこのゲームをしよう。
160: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/19(月) 20:57:42.44 ID:Co1Z/VQm0
暖かい風に包まれる。
とある春の日の記憶が流れ込んできた。
桜の花びらが舞う。
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