13: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 16:57:38.73 ID:1iL2fWn50
同じようにただ黙って彼を睨めつけていると、彼は何を思ったか、ほんの少し頭を垂れ、捧げるようにハンカチを私の前へ差し出した。
一瞬呆気にとられ、変な感覚が全身を走った。私はなるべくその様子を見せず、冷たく言い放つ。
14: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 16:59:58.22 ID:1iL2fWn50
時子「靴?」
私はもう一度視線を落とし、自分の靴を見た。
15: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 17:05:29.12 ID:1iL2fWn50
ちひろ「断っていただいても、全然かまわないので!」
時子「……ふん、別にかまわないけれど。先に一つ貴方に言っておいてあげる」
16: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:18:54.60 ID:1iL2fWn50
時子「アイドルなんて遊びよ。金のために働くなんて馬鹿みたい。所詮、この世のすべては生きてる間の暇つぶしに過ぎないんだから」
スカウトされた直後、彼と彼女の目の前で放ったこの言葉は、彼らにとってとても鮮烈だったらしい。
17: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 19:21:04.75 ID:1iL2fWn50
ちひろ「本物、ですか?」
あのとき彼は、私の靴を見て私に見合っている、と言った。
18: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 19:22:28.25 ID:1iL2fWn50
――さすがに、虚を衝かれた。
時子「……どんな?」
19: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:23:22.86 ID:1iL2fWn50
ちひろ「まぁ、まだ仮ですけどね」
ちひろ「もしかして、怖いですか?」
20: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:25:08.75 ID:1iL2fWn50
反射的に威圧的な態度をとってしまった私に対して、彼女は臆することなく笑みを浮かべたまま、
ちひろ「それは、自信なんですか?」
21: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:25:51.12 ID:1iL2fWn50
――寮にしてはやけに広い廊下。凝った装飾。
ここにいるのが夢を売るアイドルだとわかりきっているからこその、金の使い方だろう。
22: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:27:26.53 ID:1iL2fWn50
初仕事の詳細が決まった。
12月24日のクリスマスイブ。数億の金が動く、あまりに大きな舞台だ。詳細が明かされてから、私以外のアイドルたちも背筋が伸びているようだった。
23: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:28:53.33 ID:1iL2fWn50
時子「チッ、気にくわないわね」
P「なにかご不満がありましたか?」
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