6: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:05:59.53 ID:TYKVB7XU0
『比奈にまだ続けて欲しい』
これは嘘じゃない
7: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:06:25.88 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
私だって、あなたと5年一緒にいたんだ。だから、あなたが何を思っているか、私にも少しは分かる。あなたが無理していたことも、私にはお見通しだ
8: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:07:08.77 ID:TYKVB7XU0
『アイドル荒木比奈、今秋引退』
あれから三日。情報が公開されて、ネットニュースの見出しにはそんな類いの文言が並んだ。ありがたいことに、私の引退を惜しんでくれる人も多かった。
9: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:07:38.38 ID:TYKVB7XU0
「……奈緒ちゃん、Pさんがね、アタシの最後の仕事をライブにしたんスよ」
「……」
10: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:08:12.85 ID:TYKVB7XU0
「そっか、神谷さんもウサミ、安部さんも……」
二人がライブに出てくれる、と言うこと伝えると、彼は嬉しそうに笑った。
11: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:08:38.81 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
僕たちは、終わりに向かって動いていた。最後のライブに向けたレッスンが増え、代わりに普通の仕事が減っていく。
12: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:09:27.65 ID:TYKVB7XU0
退社前だった。空に紫色が来る時間が早くなっている。そろそろ秋物をだすか、と思いながら席を立った。
そのときだった。先輩プロデューサー(神谷奈緒さんの担当)に声をかけられる。あの人、さっき席を外したばっかりなのにどこへ行っていたんだろう。
13: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:10:23.44 ID:TYKVB7XU0
先輩はどうやら、僕が比奈の引退が近づくにつれて気を張り詰めすぎているんじゃないと思い、少しくらいリラックスしろよという意味で缶コーヒーと、後で食事でも奢ろうとしていたらしい
そして、屋外の自販機コーナーへ向かうと、秋が近づき寒くなっていることに気がついたらしい。そして、ホットの方が良いかもしれないと思ったらしい。
14: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:11:12.98 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
巡る季節は、温度を連れ去っていく。暑かったこの間までとは打って変わって、少し肌寒い。秋の温度だった。
15: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:12:01.12 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
あまりに早く起きすぎたから、電話をかけてしまった。電話越しの声は、いつも以上にいつも通りで、安心した
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